首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

ミンキーモモ マニアックス付録絵本用脚本その2

イメージ 1

  (アルファベットの部分のト書きは絵を表しています)
I. ミンキーモモ マニアックス2 CDーROM
 「明日どうなる」……パート2 作 首藤剛志  絵 わたなべひろし

 A. 初代きんとと号予言の国へ飛んで行く
  1. フェナリナーサ歴ダバ数○回目の休業一時間前……ミンキーモモは予言の国へ向
   かいました。そして、フェナリナーサ歴ダバ数○回目の休業50分前……ミンキー
   モモは、予言の国に到着しました。

 B. 奇妙な文字でかかれた看板がラスベガスのネオンのように光り輝いている。まるで
  土日と祝日と初日が重なったデイズニーランドのような賑わい……
  目を見張るミンキーモモミンキーモモの前にうらないのおばさん。
  1. 予言の国のメインストリートは世界が滅びる予言「ハルマゲドン」やら、天魔大
   戦で天使が勝つ予言「かつどん」……みなしごがまぶたの母と出会う予言「親子ど
   ん」……歳をとったおじいさんが子供から捨てられる日を予言した「おとこ老いど
   ん」おばあさんのばあいは、ドン(用例……政財界のドン、マフィアのドン)には
   なかなかなれないのでこれはただの「ばばぬき」天ぷらが上に乗っている「てんど
   ん」はあたりまえ……かわいい女の子が麻雀をやっているキャバレー「ロンドン」
   などなどなど(……これ以上のくだらない駄洒落をかくととミンキーモモにおこら
   れそうなのので、あとのどんどんはみなさんにおまかせするとして)ともかく、予
   言の国はどんどんどんどん人が集まって大賑わい……最近、閑古鳥が鳴き始めた夢
   の国……フェナリナーサのミンキーモモなんか、目を丸くしちゃいいます。
   「ほえ……予言ってすごく流行ってんのね……」
   「お嬢さん、うらないはいかがかな」
   うらないおばさんがミンキーモモに声をかけます。
   「うらない……うらがないなら表だけ?……表があるなら裏もある、だから……う
   らないはなしはありえない。うらないなんて信じない……しらない……いらない…
   …時間がない……、」
    ミンキーモモが答えました。
    なにしろ時間はフェナリナーサ歴ダバ数○回目の休業45分前に迫っています。
   「なに……この国にうらないがいらない子がいる?」
   おばあさんがミンキーモモを指さして叫びました。
   「そんな奴は誘拐監禁拉致洗脳……お布施は前金全納で!」
   ミンキーモモはおばあさんにこたえました。
   「見世物小屋のエチケット……お代は見てのおかえりで……」
   「なんじゃ……?」
    首をひねっているおばあさんにミンキーモモはいいました。 
   「早く早く……わたしは夢の国フェナリナーサのプリンセスミンキーモモ……わた
   しを予言の国の王様のところへ連れてって。なにしろ時間はフェナリナーサ歴ダバ
   数○回目の休業43分前」
    ともかく時間がありません。

 C. メインストリートのきらびやかなデモンストレーションが様々な宗教の世界中の教
  会やお寺に変わる。目を見張るミンキーモモ……混雑していた人々の服装が様々な宗
  教の式服に変わる……神父さんやおぼうさんやらお遍路さんやらアラビア風やら……
  が祈っている。(キリスト・イスラム・仏教の三つでけっこうです)
  1. 「フェナリナーサのお嬢様かね……こりゃまた失礼……まじめにやりましょう。
   これが本当の予言の国の姿だどん」
   ミンキーモモの素性を知ったうらないおばあさんはまじめな顔になりつえを振りま
   した。
   賑わっていた町の中もみんなまじめで、ミンキーモモにとっては訳のわからない歌
   のような言葉をまじめに繰り返しています。
   「ほえ? いままでのは?……」
   「ありゃ営業用じゃ……本気はまじめ……」
   「ほえ?何を歌っているの?」
   「歌じゃない……祈りさ……予言された未来で幸せになれるよう祈っているんだ」
   いつのまにか、うらないおばあさんの姿が少年の姿に変わっていました。
   そして、ミンキーモモに微笑みかけて言いました。
   「夢の国のプリンセス・ミンキーモモ……一度会いたいと思っていました。僕の国
   へようこそ……」
 D. 少年ノットラスがいる。又は対峙するミンキーモモとノスットラ
  1. 「あなたがこの国の王様?」
   ミンキーモモはびっくりしました。ミンキーモモとたいしてかわらない年頃に見え
   たからです。そして、ちょっと頬があからんじゃいました。
   おめでたいフェナリナーサの男の子にはあまりみかけない……なんか影のあるとっ
   てもかっこいい男の子に見えたのです。
   「そうだよ、ぼくがこの国を率いているノットラス……予言やうらないは未来を語
   る。生きる時間の少ない大人……つまり未来の少ない大人より……生きる時間の長
   い……つまり
   未来の多い子供の方が予言やうらないが大切さ」
   「だったら赤ん坊が一番未来が多い……」
   ミンキーモモが言いました。
   ノットラスが首をふりました。
   「赤ん坊は生きている今その時が一生懸命……泣くも笑うも今その時……未来のこ
   とまで考えない、今……その時を生きている人は未来のことなど考えない……そん
   な幸せな赤ん坊には予言やうらないは必要ない……予言やうらないが必要なのは自
   分の未来を考える人さ……夢だってそうだろう……?」
   ミンキーモモはいわれてなるほどと思います。
   ……夢だって希望だって未来があるから持てるものです……なるほどと思います…
   …
   「僕達はよく似ている……」
   ノットラスはいいました。
   「夢の国と予言の国……どちらも未来を信じている。夢と予言が一緒になれば、す
   ばらしい国ができるよね。僕が予言する未来をみんなが夢見てくれる。素敵だろう?
   」
   ノットラスは微笑みました。
   ノットラスは悪い人じゃなさそうです。
   でも、ミンキーモモには、ノットラスが予言する世界破滅を夢みたいとは思いませ
   ん。
   予言が実現する未来を信じていません。
   いえ、明日何が起こるかすら……ミンキーモモはわかりません。
   ミンキーモモの魔法に未来がわかる力はありません。
   そんな力があったら、
   大人になったら何になる?……きっと夢が叶うわ……
   テーマ曲が矛盾しちゃいます。
   大人になったら何になるか分からないから、夢が持てるとミンキーモモは思います。
   そんなミンキーモモには、予言と言うものが、この世にあることすら分かりません
   でした。
   「なぜ、ここにいる人達は予言を信じるんだろう」

 E. ノットラスのまわりに地獄絵図が広がる。茫然と見つめる。
  1. ノットラスがいいました。
   「今、がつらいからだよ。どうやって生きて行けばいいか分からないんだよ。今、
   生きていることがとても不安なんだよ。せめて、明日が分かればどう生きて行けば
   いいかが分かる」
   ミンキーモモがつぶやきました。
   「先が見えないと生きて行けないの?」
   「今が辛すぎるからね。だから僕は予言をする。今は辛いけれど、世界が滅びた後
   の世界では、幸せになれる」
   「なんで、滅びなきゃなんないの」
   「今が、どう生きたらいいか分からないほど辛い世界だからさ。そんな世界は滅び
   た方がいい。心のどこかでみんなが滅びることを望んでいるんだ」
   「暗いのね……」
   「暗い明るいの問題じゃないと思うよ。でも、これがが暗いと言うなら……これか
   らどんどん暗くなるよ。みんながどこかで望んでいれば、どんどん世界はそっちへ
   向かう。どんどん世界はハルマゲドン。でも、それでも、未来がわかれば、なんと
   か今を生きて行く生き方が分かるだろう」
   「でも、そんな未来が分かれば夢は持てない。それじゃ、フェナリナーサは困っちゃ
   う」
   「夢は持てるよ……予言された未来を夢見れば……簡単だよ」
   「予言された未来なんて……そんなの夢じゃない」
   ミンキーモモは理屈じゃなくてそう感じるのです。
   でも、こんな話しを続けていても、どうどうめぐりな気がします。
   ミンキーモモはいささかあせります。
   こうやってノットラスと話しているあいだにも時計はこちこち……
   時間はフェナリナーサ歴ダバ数○回目の休業24分前です。
    ともかく時間がありません。
   こうなりゃあたって砕けろ……です。
   とりあえずノットラスの予言を信じられるかどうかやってみるしかありますん。
   ミンキーモモは予言を信じません。
   ノットラスと予言の国に集まった人は信じてます。

 F. ミンキーモモのバトン変身
  1. 「それじゃあ私の未来を予言して……大人になったら何になる……」
   ミンキーモモはバトンを振って例の言葉をとなえました。
   「ピピルマピピルマプリリンパ・パパレホパパレホドリミンパ……アダルトタッチ
   で何になる……なりたいものになーれ」
   ミンキーモモにはなりたい大人がいっぱいありました。どれもこれもなりたい大人
   でした。


               ミンキーモモ マニアックス「明日どうなる」3へ続く