首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

五月三日 小田原 その二

前回のブログから半月も経って、5月3日の北條五代祭りの話をするのはどうかと思うが、来年の5月3日は、今年よりもよりスケールアップしそうな勢いなので、来年の五月をめどにじっくり書くことにします。
順番から言うと、小田原城と北条五代の説明をしなければならないのだが、これは、あらためて書きだすとえらく面白く、調べれば調べるほど興味深い。なにしろ、歴史マニア垂涎の戦国時代の北條五代です。
下手なことを書けば、突っ込まれるでしょうし……。一年がかりでじっくり攻めていこうと思います。などと言いながら、小田原に住んでいる時は、さほど、北條五代も小田原城も気にしていなかったのですが、離れてみれば、あーあ、住んでいる時にもっと調べておけばよかったと悔やんでいるのです。
人間ってあまりに身近にあるものは、案外、気にしないものなんですよね……東京にいて東京タワーに行ったことがない。みたいな……で、小田原城の前に、周りから攻めることにします。
前回に戻って早川です。海に面した山の上に一夜城の跡があります。車で行く道もありますが、時間があれば、海を見ながら、ミカン畑の間を登っていく山道がお勧めです。大した距離じゃありません。登りきったところはコスモスの畑、これ、コスモスの季節にはすごいです。ってコスモスの季節っていつだっけ?小田原市のホームページを見てください。娘を連れてよく来たんですけれどね。
ここから見る駿河湾の日の出は絶景のはずですが、そんな早起きの無理な僕は一八年間、一度は見ようと思いつつ、一度も見ていません。
なぜか、道の隅に、ポツンと公衆電話が立っています。この風景、アンバランスな面白さがあります。
どうやら登るのはいいけれど下るのはきつい人が、タクシーを呼ぶための電話のようです。
一夜城の入り口から、森の中をはいっていきますと、いきなり芝生が広がります。
昼は、家族連れがピクニック気分でいるときもありますが、夜は、誰もいません。僕が早川にすんでいた頃は、街灯もありませんから、真っ暗。星を見るのに最高です。超マイナー・アニメの「超くせになりそう」のシリーズ構成メテオ・シャワーは、ここで見た獅子座流星群からイメージした僕のペンネームですが……まあ、そんなことは誰も知らなくて結構です。
治安状態は知りませんが、ここに男女のカップルが来て、何もなければ、男の子は男を止めた方がいいと確実に思います。この芝生の先に、展望できる場所があり、箱根から小田原方向に流れる早川沿いが見渡せ、小田急線が走っています。電車のジオラマを見るような、かわいい風景がそこにあります。芝生の先には一夜城の古井戸もありますので、覗くか、井戸の底まで行ってみてください。なんだか、奇妙な霊気のようなものを感じます。
芝生から、林を登るとそこが一夜城の跡、崩れかけた石垣があります。
ここの展望台から、駿河湾と小田原の街が一望できます。夜景が抜群だといわれますが、真っ暗闇で、この展望台に来るのは、肝試し気分を覚悟してください。
夜景なら、一夜城に上る車道からも展望できます。この車道にしろ芝生にしろ、小田原に来る観光客目当てに市が作ったものらしいのですが、夜景を見ながらずらりと並ぶ車のナンバーは湘南か相模……つまり、地元のカップルばかりで、市の思惑は、外れたようです。確かにこの夜景は函館、神戸に劣らない美しさではあります。
で、一夜城、戦国時代の終焉、秀吉の小田原城攻めの為に作られた城で、一夜で目の前の山の上に城ができて、小田原の人たちはびっくりしたそうですが、実は山の森の中に大変な苦労をして城を建て、城が立った後に一度に、周りの森を切って、いわゆる、いないいないばあをして、一夜で建てたように見せかけた秀吉のパフォーマンスだったようです。秀吉は、この城に淀君さんなんぞを呼んで、どんちゃん騒ぎをして、決死の気分で小田原城を守る北條の人たちの神経をさかなでにする心理作戦にでました……実はそうでもしなければ簡単に落ちそうにない難攻不落の城が小田原城だったわけです。秀吉は家康を一夜城に呼んで、小田原城が落ちたら、関東をあんたにあげると、小田原城を見下ろしながら、小便をしながら言ったとか言わないとか……で、家康は、その際には小田原城くださいといったら、秀吉の答えはNO……難攻不落の小田原城が家康のものになったら、敵になった時に大変です。で、仕方なく、家康は、江戸城ということになり、のちに江戸幕府……東京になるわけです。
歴史に「もし」が許されるなら、小田原幕府……小田原が東京都になったかもしれず、それを悔しがる小田原の人が今もいるとかいないとか……こんなこと、歴史好きの人には当たり前の常識かもしれませんが、あなたの彼女が、はやりの歴女だったら、デイトの場所にここを選べば、確実に株が上がり、ついでに夜は真っ暗やみだし……ご宿泊は箱根・湯河原でなく一夜城で自家用車かレンタカーの中でも……というのは冗談にしておいて、
ここからの眺めは、ある種の男にも感動を与えるらしく、あるアニメプロデューサー、「この景色を北條早雲もみたんでしょうねえ」などといいながら、なにやら決意の表情……この当時、アニメがが数本作られただけの「銀河英雄伝説」をなんと150巻の超ロングアニメにして完成させちゃいました。
誇大妄想癖のありそうな人には、見せないほうがいい展望かもしれません。
その気になってなにをしでかすかわかりませんからね……
なお、早川はミカンの採れる北限の地とか……ただし、日当たりのいい場所のおいしいミカンは、地元の人が食べてしまい、残りはなつかしき汽車の旅には、かかせない冷凍ミカンに……したがって、小田原は冷凍ミカンの
産地として知られていましたとさ……ともかく一度はいって見てください。一夜城。コスモスの時期は特にお勧め
……次は、かまぼこの話でも……なお、小田原の五月末は菖蒲。六月はアジサイ。こいつはすごいです。
昼の祭りの代表が北條五代祭りなら、夜の祭りは小田原ちょうちん祭り。七月です。なんだか、インターネットで検索すれば分かるようなことをつらつらと書きましたが、その時期には、あなたと小田原ですれ違うかもしれません。その時はよろしく……では……