首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

脱力映画を作る人はすごい

昨日、脱力感いっぱいの「亀は意外と速く泳ぐ」という映画を見たが、ふと、ある事に気がついた。
何が、言いたいのか分からないような脱力映画を作る人は、そうとう、やる気のある人たちだと言う事だ。元気のある人たちだ。やる気と元気がなければ、普通、あんな映画は作らない。
 僕がいい例だ。僕のように、よほどの事でもなければやる気にならない脱力人間は、どうでもいい映画を作る気力は無い。やる気の上にやる気を振り絞って、その上やる気になる事情が、重なってはじめて、脚本を書く気になる。
 だから、僕の作品には脱力感を感じる作品が少ないはずである。自分がやる気になれない作品は、どんなに、暇があっても、貧乏でも、ギャラが良くても作らない……というより作れない。
 そこに、生まれながらの怠け癖がしみついているから、めったな事では働かない。
 部屋の中など、ゴミの山ではないが、ほとんど使わないものの山である。
 古いコンピュター、ビデオなどの再生装置、楽器……カメラ……CD……DVD……本……ETC。
 かたずける気力がないのだ。捨てる気持ちにならないのだ。
 ゴミと分かりきっているものは、気力を振り絞って捨てるが、その他、いつか使うかもしれないと思うものは、置きっぱなしである。
 はじめて僕の部屋を見た人は、やはりゴミの倉庫とおもうだろう。
僕と言う自分自身も、ゴミ的存在と思えば捨てるつもりだが、まだ、使えそうなので残している。
「亀は意外に速く泳ぐ」ではなく、やっぱり僕という亀は、めったに動かないのである。
 だから、なんとなく、「亀は意外に速く泳ぐ」などという脱力系映画を作る人たちは、すごいなあ……と感じるようになってしまった。
 今日は、「がんばれ!ベアーズ・ニューシーズン」というおなじみの少年野球映画の新作を見た。
 何回も続編が映画化されていて、アメリカではテレビシリーズにもなっているらしい。
 まるで駄目な少年野球チームが、優勝決定戦まで進出するという、おなじみのパターンの映画だが、そのチームの監督が、脱力感まるだしのダメおじさんで、子供たちにやる気を起こさせるうちに、自分も脱力から抜け出すというお決まりのストーリーである。毎回、ピッチャーになるのが、剛腕美少女で、そこが、見どころの一つでもあるのだが、昔は、ウオルター・マッソーという脱力おじさんを演じると天下一品の俳優がチームの監督になり、今回も脱力系が得意の、ビリー・ボブ・ソーントンが、アル中の監督を演じている。
 野球をテーマにすると、脱力系がやる気になってしまうのが、この映画の面白さだが、それだけ、野球と言うものが、アメリカのやる気を燃やす要因になるスポーツだということなのだろう。
 そんなアメリカの野球がWBCで、決勝に残れなかったのは、世界の七不思議である。
 今アメリカは、脱力感でいっぱいで、もしかしたら来年あたりCG多用のハデハデ映画でなく、脱力ムード満載の、何が言いたいのか分からない脱力映画が流行するかもしれない。