首藤剛志のふらふらファイル箱

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「COSMOS ピンクショック」二部……その一

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これは、VHD「アニメビジョン」に連載された「COSMOS ピンクショック」の二部で、「アニメビジョン」が三巻で終わった為に、製作されなかった未発表のシナリオです。

(これまでのあらすじ)
 子供の頃、ボーイフレンドのヒロシを宇宙人にさらわれたミッチーは、ヒロシが連れさらわれたという宇宙の果てを目指して、ピンクショックという宇宙船で、宇宙を一直線で追いかけ始めた。
 領界を、突破された星系は、なんとか、ピンクショックを止めようとしたが、誰も、止める事が出来なかった。
 やがて、宇宙を一直線に進むピンクショックに乗るミッチーのひたむきさに感動した人々が。応援団を結成して、ピンクショックの追っかけをするようになった。
 応援団の数は、増えるばかり……ピンクショックは、宇宙の名物になる。
 一度は、ピンクショックの進行を止めようとした、ある星の防衛隊司令官、クールで。女嫌いのギャッピーという美男子(二十代後半)も、ミッチーのひた向きさに打たれ、軍隊を止めて、ミッチーを守る為、追っかけの応援団に参加する始末である。
 今日も、ピンクショック(桃色の衝撃)は、宇宙を一直線で駈け抜けて行く。
 ピンクショックを止める事が出来ること者はいるだろうか……?
 ミッチーは、果たして、ヒロシを見つけ出し、取り戻す事が出来るだろうか……。
 「わたしは止まらない……ピンクショックも止まらない……!」


「COSMOS ピンクショック」2……その1

         暗黒の女王

    原作・脚本 首藤剛志 



○ ピンクショック コックピット
   ミッチ はちまきを締め、操縦レバーを叩き込む。
ミッチ「ミッチ 行きます!絶対止まらないんだからッ!」

○ 大宇宙
   奇妙な星雲が見える(例えば……馬の首星雲等-別に意味は無いが、ただの星雲 では寂しいので……)宇宙をピンクショックがすっ飛んで行く。
N「ジュピター星系を突破したピンクショックは、宇宙の星域を目指し、今日もひたすら 飛び続けた。」
   ピンクショックが、宇宙の点になった頃、アンドロメダおろしが聞こえてきて、トラ型ロケットを中心とした大船団が、雲霞のごとく追っていく。   
N「そして、ミッチーとピンクショックの行方を見守る応援団の意気も衰える気配はかっ た。そればかりか、ジュピター星で明らかにされたピンクショックの素性は、様々な星の、テレビに、新聞に、雑誌に大きく報道された。」
   すっ飛んでいくピンクショックにだぶって、様々な星のニュースキャスターの顔や、コスモス フォーカスや、フライデーの記事がだぶる。

○ マスコミの記事
   「17才の少女、愛の追跡!」
   「ミッチ、いきます。わたしをあげる!」
   硬い表現の記事、興味本意の記事やら様々である。

○ 宇宙
   突っ走るピンクショックを待ち受ける暴走族ロケット群
女「あっ、あれよ。うっそーマブイじゃん。さすがぁ、追って行こうぜ!」
男「おう!俺達ゃ 走るよりや、やることな~んもねぇ。同じ走るなら、有名人とボ~ソ~しようぜ!」
一同「オーッ!」
   クラクションを鳴らしながら後を追う。続いて観光バスロケットが現れる。

○ 観光バスロケットの中
バスガイド「皆様、ピンクショック通過記念観光ツアーに御参加いただき、ありがとうご ざいます。あれに見えるのが、お待ちかねのピンクショックでございます。
 ただいまより、一週間にわたり、当ツアーは、ピンクショックを追跡、観察いたしま  す。なお、記念メダル、記念切手、パンフレット、Tシャツ等、限定発売でご用意いた しておりますので、御利用ください。」
   バスガイドは、キャラクター商品を見せる。
   窓の外、噴射光を光らせて走るピンクショックの姿は、まるで、彗星を思わせる。
   乗客の老夫婦が、手をあわせて拝む。
老人「おう、えらいこっちゃのう。ありがたいこっちゃのう。ねぇ婆さん。」
老婆「ほんとうですねぇ。」
   と、シミジミムードが漂っている。

○ 宇宙
   同じ様な観光ロケットが、わんさと飛んでいる。
   ついでに、屋台ロケットや、ラーメンや、焼鳥屋、氷屋風ロケットも……
N「ピンクショックの後を追うものは、増える一方だった。」

○ 宇宙に遥か浮かぶ巨大基地
N「この辺りの星雲連邦としては、この事態を軽く見てはいられなかった。」

○ 連邦会議
議長「なんでもかんでもアイドルにしてしまう。こりゃたまらんですぞ。」
   ミッチのアイドル写真がビジョンに写っている。
A「早く叩き落とすべきです。どうせアイドルは、いつか落ちるのが、今の常識ですからな……」
B「だが、いつの世にも、アイドルを真似するガキどもが出てきます。そうなったら社会問題ですぞ。」
C「すでに、各地で、暴走族が、ピンクショックの真似を始めています。」
A「叩き落とせ!みんな落としちゃれ!まとめて落としちゃれ!」
B「しかし、ピンクショックを撃ち落とすにしても、どこの星がやります。なんたってアイドルですぞ。怒ったミーハーファンの暴動ほど、おっとろしいもんがない。」
D「少なくとも、撃ち落とした星の評判は、がた落ち似なりますな。」
   一同、顔を見合わす。
B「どなたもやる気はない…」
C「しかし、このままでは、他の星雲への面子はどうなります。17才の少女ののるロケ ットを落とせないなどと、他の星雲に知れれば、たちまち連中は攻めてくる。我が星雲 の内輪で、楽な戦争(スターウォーズ)をやっているようなわけにはいきませんぞ。
   一同、顔を見合わす。
A「ギャラクシーウォーズの危機…」
   一同、沈痛な表情-。

○ イメージ
   宇宙戦争が展開される。

○ 会議室
C「どこの星も、ピンクショックを落とさぬというのなら、仕方ありません。商売人に頼 みましょう。」
B「商売人?…」
C「世の中すべて金の世界です。お尋ね者、処理斡旋というのがあるのです。」

               〈WIPE〉

○ お尋ね者、処理斡旋会社基地
   その全景-
   なんとなく、場末の探偵事務所の感じである。

○ 同 事務所
   女が二人、頬杖をして座っている。
 「ひまだねぇ…」
 「ほんと不景気、来月の家賃どう~しよ」
   ジェーンとランである。
   若作りしているが、けっこう年増の、しかし、美人である。電話が鳴る。
   ジェーンが受話器をとる。
ジェーン「はい、はい、…お尋ね者退治ね…もち、ギャラ付きよね…もちろん、斡旋しますわ。
そりゃ、世の中、金の為なら、なんだってする奴は多いわよ。WANTED、貼紙出しゃ、わんさと殺し屋が集まってくるわ。」
ラン「依頼人の名は秘密ね。分かってるわよ。チラシは、電話ボックス、新聞折込み、TVCM、ゴールデンタイムは、50%増し…」
   ランの台詞に、各場面のチラシやCMが写される。
   得体の知れない殺し屋達が、チラシを持っていく。
『WANTED $10000000…ピンクショック 速水ミツコ』
   お尋ね者書きは、それぞれの星のそれぞれの文字で書かれている。
   様々の武器を持った、様々な殺し屋達が、それぞれのロケットに乗り宇宙に飛び出して
   いく。
N「こうして、この辺りの星雲の至るところから、無数のバウンティーキラー、殺し屋達が、ピンクショックを狙って飛び出していった。」
   殺し屋のロケット群が加わり、更に大群になり、ピンクショックを追う宇宙船の群れが、   延々と続く。
A)ピンクショック コックピット
ミッチ「何が起きたって、私は止まらない。NON STOP PINK SHOCK!」

B)すっ飛んで行く ピンクショック           (つづく)