首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

「四十歳の童貞男」

先日、打ち合わせの帰りに渋谷駅前のレンタル屋で借りたDVDを見た。
 「四十歳の童貞男」……さすがの僕も、劇場で観るにはちょっと恥ずかしい題名である。
 アメリカでは大ヒットしたらしいから、それなりの何かがあると思っていたが、この題名では、日本の観客が集まるかどうか首をひねらざるを得ない。
 もう少し、題名を工夫したらどうかと云いたくなる作品だが、原題が「The 40 year old
VIRGIN」だから、もろ、直訳である。
 女性なら分かるが、男の童貞のことも、Vi rgin  とアメリカでは呼ぶとは、この歳になって
はじめて知った。
 で、DVDを見始めたのだが、最初から最後まで、くすくすと笑ってしまった。
 面白いのである。
 主人公を取り巻く人達をふくめ、作品全体が細かい部分で、ともかく笑わしてくれるのである。
 だが、笑っている僕を他の人が見たら、どう思うだろう
 仕事場で、一人だけで見て正解だった。
 四十歳まで女性経験のない生真面目な主人公を、周りにいる気のいい連中がなんとかしてやろうと右往左往するのが、やたらおかしい。
 下ネタ満載だが、下品にならず、お下品程度で収まっているのが、ある意味すごい。
 特にクライマックスの数分間は、(つまり、この映画でいえば、主人公が、ついに女性を体験するあたりである)くすくすが爆笑になってしまった。
 ミュージカルの「ヘアー」を知っている人なら、より笑えるクライマックスである。
 「ヘアー」のテーマ曲ともいえる「アクエリアス」がクライマックスでハッピーに歌われるのだが、意表をつかれたというか、あっけにとられて、笑うしかない。
 おい、こんな所で「アクエリアス」を使っていいのかよ……である。
 題材が題材だけに誰にでも勧められる映画ではないし、よっぽど親しい間柄にならない限り男女のカップルで見るのは止めておいた方がいいかもしれない。
 こんな映画を笑って見ていられるなんて……と、あなたの品位を疑われるかもしれないからだ。
 四十代以上で童貞の男性も、身につまされすぎるから止めておいた方がいいかもしれない。
 だが、DVDで、一人で見るには持って来いの映画である。
 レンタル屋で借りるのも気が引ける題名の映画だが、さりげなく借りて見てください。
 お馬鹿な映画かもしれないが、ともかく面白い。
 ある意味、ハッピーな映画といってもいい。
 DVDを返しに行ったら、店にあったこの映画は、一本残らず借り出されていた。
 クチコミでこの映画の面白さが、ひろまったのかもしれないと思うと、なんとなくうれしくなってしまった。