首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

締め切りが延びた。

 明日、締め切り予定の脚本が、スタッフや制作会社の都合で、来週になった。
 徹夜、覚悟だったので大助かりで、喜んだものの体の力が抜けてしまった。
 僕に限ったことではないと思うが、物書きには他の仕事の方と違って、殆ど休みがない。
 普通は、執筆している時が仕事のような気がするかもしれないが、だらだらと何もしていない時も、実は頭の中は、作品の事を考えている。
 考えている作品が、二本も三本も重なると、頭の中は大混乱である。
 頭の中を、それぞれの作品が、あっちこっちとかけ回っている。
 眠っている夢の中でも、作品のことを考えていることがある。
 作品を書き上げた夢を見て、ほっとして目を覚ましたら、現実は一行も書いていなくて、ぞーっとしたことも、一度だけではない。
 特に、明日、締め切り予定だったアニメ作品は、後、三回で、最終回を迎える。
 もうすぐ終りじゃないか……と考える方も多いだろうが、僕は、作品の登場人物を作者の操り人形のように、思い通りに動かすタイプではない。
 登場人物達が、考える事を想像して、登場人物の勝って気ままに自由に動いてもらうように書くことを心がけている。
 今回は特に、それを意識して書いている。
 それが、後三回で終りである。
 登場人物が、どう動くか、書いて見ないと想像がつかない場合がある。
 だから、書いている途中でも、登場人物が作家の僕が思いもしない行動をとることもしょっちゅうだ。。
 特に今回のアニメの場合、主要な人物だけでも十人は出てくる。
 それが、最終回に、うまく動いてまとまってくれるか、頭が痛くなるばかりである。
 僕が予定していない最終回になるかも知れない。
 締め切りが延びたということは、最終回をどうするか考える時間が増えただけのことかもしれないと思うと、単純に喜んでいいのかどうか分からなくなってきた。
 書くことがよっぽど好きな人はともかく、僕のようにいつまでたっても書くのが苦手な人間にとっては、毎日が地獄である。
 いまさらどうにもならないが、つくづく因果な仕事に足を踏み入れてしまったと思う。
 この歳になって、人生間違えてしまったと思うのは困ったもんだが、馬鹿だなあと……結構、笑っちゃうこともある今日この頃である。
 そのくせ、まだ書いない作品で、死ぬ前に書いておきたい手付かずの作品が五編はある。
 どうしたらいいんだろう。……ああ、締め切りも延びた事だし、今日は、もう寝よう。
 まだ、午後七時近くだけどね……