首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

ただもう疲れた日曜日

 日曜日である。
 前日は、夜の渋谷をさ迷ったので、いささか疲れた。
 通りすがりの人たちや、立ち寄った店で、見ず知らずの人たちの、動きを観察したり、会話を聞き耳を立ててしまうのは、なにか書くものの参考にならないかという好奇心が身に付いてしまった、長年の僕の職業病のようなものである。
 しかし、ただ、ぼんやりさ迷っているわけでははなく周囲に気を配っているから、結構疲れるのである。
 そんなわけで、今日は一日中、仕事場に引きこもって、二十日から二十一日に発売された映画雑誌の何冊かを、ぼんやりと読んでいた。
 中には、面白い雑誌もあって、ここ数年「映画秘宝」という雑誌が、奇妙に気に入っている。
 僕にとっては、あまり興味の無い種類の映画のことを、執筆陣が、やたら詳しく偏執的においかけて、いわゆるオタク雑誌・カルト雑誌の見本である。本当にいろいろどうでもいい事を、よく調べている。
 だから、この雑誌で誉めている映画は、なんとなくビデオ屋で借りて見たくなる。
 映画に対するへんてこな愛情にあふれているのである。
 まじめでありきたりな批評や、よいしょ的な宣伝臭の強い話題を取り上げている「キネマ旬報」などより、読んで、楽しい。結構、変な映画に趣味的で濃い内容だから、皆さん全部ににお勧めとはいえないが、本屋で見かけたら覗いて見るといい。
 興味を持ったら、とても立ち読みでは済まされないほど、ぎっしり内容が詰まっている。
 時間潰しには、持って来いだし、この雑誌の編集態度には、妙に感心させられるところもある。
 どれだけ売れているのか知らないが、僕のように、毎月、欠かさず買っているフアンもいるので、どうか廃刊にならないで頑張って欲しい。
 夜の七時半頃、娘から電話がかかってきて、「野球の阪神が勝っているからテレビを見たら」……と言う。
 別に、娘にとって、野球はどうでもいいのだが、阪神が、連日負けたので、父親がしょげて、テレビさえ見ていないと思って気を使ってくれたのである。
 テレビをつけた途端、四対ゼロで勝っていた阪神が、二点取られって、四対二になった。
 嫌な予感……
 おまけに、その後も満塁のチャンスを二回も逃す、昔の阪神らしい攻めを繰り返している。
 嫌な予感がさらにふくらむ。
 結果的には、六対二の楽勝だったが、そこに至るまでが、点のとれないはらはらの連続だった。
 ほんとうに阪神は疲れるチームである。
 結局、土曜、日曜と、ろくに仕事もはかどらず、ただただ疲れた休日だった。