首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

「インディ・ジョーンズ4」クリスタル・スカイについて……

今年の夏から、今までの映画で話題になった作品で、ヒットした作品である。
実は、僕、渋谷で上映されている映画の3分の2は見ていると思う。
見たがっている方々の邪魔はしたくないので、感想は避けていたが、気がつけば、はやばやと、DVDになりレンタルされている。
勧めたい映画ではない。
スピルバーグも歳を取ったなと思われるぬるぬる冒険映画である。
これで、満足する脚本を見つけるために、何年もかかったとしたらバカみたいである。
なによりアクションの切れが悪い。
なにしろ素材が、僕が小中学生の時に喜んでいたオカルト謎解きものである。
UFOや宇宙人らしきものまで出てくるから、おいおい本気なのかよと言いたくなる。
でも、この作品で気になるのは、やっぱり、本筋に関係ない原爆実験シーンである。
主人公は原爆の危機を、冷蔵庫に入ってきりぬけ、放射能汚染は、洗浄液のようなものをかぶってOK……
元気、元気である。
冒険アクション映画で、原爆シーンをけしからんというのは野暮だと言う意見があるのはよく知っている。
しかし、本当に野暮なのだろうか?
最近のアメリカのアクション映画は、簡単に核兵器を使う。
やばい兵器であることは、充分知っているようだ。
でも、エンターテインメント映画には、使っちゃうんだよね。
戦後のじいさんインディが主役のこの映画、悪役が、ナチスでなくソ連になっている。
ソ連が崩壊した今だから、悪役に使えるのだろう。
で、この作品、冒頭には、戦後のアメリカの若者風俗をかなり、懐かしさをこめて点描している場面もある。
 としたら、原爆も当時のアメリカ万歳風俗ののシンボルだったのだろうか?
 これじゃ、反核を日本が訴えても無駄な気がする。
 で、スピルバーグやルーカスともなれば、商売相手は世界である。
 日本は、重要な市場である。
 だから、日本市場を大事にしている。
 で、原爆である。原爆は日本にとってノスタルジーか?
 この人、反戦映画として、プライベート・ライアンとか、シンドラーのリストを作っている。
 あれ、ほんとうに反戦映画か?
 この監督、映画小僧がじいさんになったような人だと思う。
 確かに「激突」「ジョーズ」「未知との遭遇」は感心した。
 で、もって、「インディ」の原爆の出てくる映画を、日本の観客がけっこう面白がって、そこそこヒットしたらしいから、日本人も変わったんだろう。
 僕は戦争を知らないが、小学生1年の時、上級生に体内被曝の人がいた世代だから、生理的に、原爆には拒否反応がある。
 スピルバーグ映画は、世界が市場である。
 日本のじじい、婆のことも考えてほしい。
 もっとも、映画を見る人は日本の若者だから関係ないか……
 でもさあ、最近の日本の政治家を見ていると、日本が被爆国だったことなんか関係なさそうだし……ま、日本にとっては核なんか、発電用エネルギーとしての価値しかない国になってしまったようだ。
 ほんとは、「インディ・ジョーンズ」公開反対運動ぐらい起こってもいい気もするんですけど、日本もスピルバーグも気にならなかったんでしょうね。
娯楽映画ですから……そんな事を話題にすることすら野暮ですよね。