首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

名曲喫茶

イメージ 1

 名曲喫茶「ライオン」……「アイドル天使ようこそようこ」のエピソードで、「レパード」と言う名で出てきた名曲喫茶のモデルにした店である。
 この店は、カレー屋「ムルギー」の近くにある。
 百軒店(ひゃっけんだな)に入って、左に行くとムルギーだが、そのまま細い道をまっすぐいくとこの店の前に来る。
 この店も、多分、できてから半世紀は経っていると思われるほど古い店である。
 昔、どこの街にも、名曲喫茶というものがあった。
 クラシックを聞く為の店である。
 今は、コーヒーショップが全盛で、名曲喫茶はいつの間にか消えていった。
 会話を楽しむ場所ではないから、席は向かい合わずに、飛行機の客席のように、二席ずつスピーカーの方向に向っている。
 昔は七十九回転のSPレコードで,ステレオなどなかったから、大きなスピーカーが、どかんとひとつ置かれている。
 もちろん今は、CDでクラシックを聞かせているから、このスピーカーは動いていない。
 しかし、この店のシンボルのように、今もどかんと置かれていると思う。
 古いレコードも山のようにある。
 クラシックは一般に長い曲が多いから、コーヒー一杯でずいぶん粘れる。
 曲のリクエストもできる。
 ただし、あくまでクラシックを聞く店であるから、会話は駄目である。
 クラシックを聞く気が無ければ、黙って本を読むか、僕の場合は、昔は、脚本を書く為に通った。
 テーブルががっちりして、原稿が書きやすかった。
 今はイヤホーンを耳につけて、I pod なんかで気楽に音楽を楽しむ時代である。
 昔の人は、クラシックにしろジャズにしろ、店に通って大事に聞いていたのだ。
 昔の人の音楽に対する気持ちが分かる店でもある。
 ともかく古くて懐かしい。
 骨董品でも鑑賞するつもりで、行くのもよいし、たまには、一人で、クラシックを聞きながら瞑想するのもいいかもしれない。
 カレー屋「ムルギー」とカップリングでお勧めの店である。
 ただし、男女二人で行く店ではない。
 一人孤独を楽しむ、しかもクラシックファンの今は貴重な店である。