首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

渋谷の「バー」

イメージ 1

イメージ 2

 実は、十五年ほど前、医者から「酒」を止めろと言われてから、いちおう禁酒中である。
 もっとも、たまに飲んで、ぶっ倒れたこともあるが、ここ数年は飲んでいない。
 だが、その前は、底抜けに飲んでいた。
 当時は、渋谷よりも新宿のゴールデン街という飲み屋の横丁によくいったのだが、飲んだ後の帰りが、おっくうなので、次第に足が遠のくようになった。
 アニメ「アイドル天使ようこそようこ」を書いていた頃には、渋谷には、カレー屋のムルギーのある百軒店(ひゃっけんだな)のあたりに、アニメに登場する飲み屋「アリス」のモデルにしたような雰囲気のいい店もあったが、今はない。
 小田原に住居を移してからは、渋谷には、週に一・二回、仕事で来るだけになり、しかも、車を運転して小田原から東京まで来ていたから、東京の飲み屋や「バー」とは、ほとんど縁遠くなってしまった。
 だいたい落ち着いた「バー」自体が、最近は少なくなった気がする。
 多分、飲む人の趣向が、ビールや、発泡酒、チューハイ系の、アルコール度数の少ないものにかわり、深酔いするアルコール度の強いウイスキーやカクテルを飲みながら、しみじみ語り合うなどという習慣が、少なくなった事も原因のひとつだろうし、なにより、どこの店にもカラオケがあり、静かな店が、ひとつまたひとつと消えていった。
 いわゆるしみじみとした正統派の「バー」を見つけるのが難しくなった気がする。
 残っているのは、女の子目当ての銀座辺りの高級バーか、値段の分からない一見で入るには危険な「バー」が多い気がする。
 だから、渋谷で「バー」に行くなら、その店をよく知っている人と行く事だ。
 例えば、僕がよく知っている店でも、僕と一緒に行くか、僕と知り合いである事を強調しなければ、
いくら請求されるか保証はできない。
 一番安全で、落ち着いて飲めるのは、ちょっと高いが、一流ホテルの「バー」である。
 昔、渋谷にはいいホテルが少なかったが、最近は、渋谷駅の近辺に一流ホテルができているようである。
 帰りにも便利だし、なにより安心である。
 一流のホテルは、別に泊まる為だけにあるのではない。
 落ち着いて飲食できる場所でもある。
 ウエイターもカウンターの人も、飲め飲めと、うるさく薦めないし、マナーもいい。
 カラオケなどという騒音もない。
 今の僕なら、街場の「バー」や「飲み屋」より、場所が渋谷ならホテルのバーを薦める。
 しかし、渋谷育ちといってもいい僕に、みなさんに紹介する「バー」が一軒もないというのも
困ったものだから、一軒だけ……渋谷のセンター街を、ずーっと奥の方までいくと「門」という店がある。
 ここは、僕が小学生の頃からあったような記憶がある。
 もしかしたら、半世紀は続いている「バー」である。
 それだけ続いているのだから、安心であるし、名物店でもあるのだろう。
 店の人には、「いまさらなにを……」と怒られるかも知れないが、ここに写真で紹介しておく。……