首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

同じ東京なのに……

 西荻窪に、打ち合わせに行った。仕事場から渋谷まで歩き、山手線、中央線でいくと、時間的には、小田原から新幹線を使い西荻窪にいくのと、あんまり時間が変らない。
 歩く分疲れるぐらいだ。
 ここ当分は、一週間に二度ぐらいは、通わないといけないかも知れない。
 渋谷と西荻……同じ東京なのに、何の為に小田原から東京に仕事場を変えたのか、分からないほど時間がかかる。
 その分、面白い仕事が出来ればいいのにと願っている。
 部屋に、閉じこもって小説を書いているよりは、健康的かも知れない。
 ところで、例の保険金の請求に関する特則を付加するといって、「日本生命」の人がふたり来て、保険証券を持っていった。
 手続きに、一週間ほど、預かるというのである。
 こちらもうっかりしていたが、保険証券の受取証も書かずに、持って行ってしまった。
 後で、受取証は送るというのだが、どうなることやら……
 口ぶりだと、やはり、僕を、新規の保険に入れるのが目的だったようである。
 もし、持っていかれた保険証券が、妙な使われ方をすれば、大騒ぎするつもりである。
 ドアを叩いて入って来ようとする他人が、あまり信じられなく、こちらが警戒してしまうのは、やはりここが東京だからだろう。
 小田原では、十八年間、そんな勧誘員は、一人も来なかったのに、やはり、東京である。
 かかってくる電話の三分の二も、株や証券の勧誘である。
 東京に戻って、一年も経たないが、なんだかもう、嫌気がさしてきた。