首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

ラブコン

若い人に評判がいいので、「ラブ・コン」と言う映画を見た。
 背の高い女の子と、背の低い男の子の,いわゆる胸キュン、ラブ、コメディである。
 つまらないとはいわないが、人が言うほど、面白いとも、感じなかった。
 まあ、そこそこといったところである。
 思うに、こう言う映画は、見ている人に、登場人物達の気持ちが、「うん、その気持ち、良く分かる」という共感があればこそ、その面白さやおかしさが身にしみて感じられるのだろうが、僕には、登場人物に対する共感が、あまり感じられなかったから、さほど、面白く思えなかったのだろう。
 この映画を楽しむ為には、まず、背の高い女の子の持つコンプレックスと、背の低い男の子の持つコンプレックスを、分かってあげないと、面白さの三分の一ぐらいは、ピンとこない。
 僕は、高校生の頃、身長が175センチあったから、当時としては、背の低い方ではなかった。
 つきあった女の子も、僕より背の高い子は、一人もいなかったから……というより、もともと、当時、百七十センチ以上の女の子は、そうは、いなかったから……この映画の主人公達の悩みやじたばたぶりが、ピンとこない。
 したがって、主人公達の切なさや、かわいらしさが、さほど切実な面白さに感じないのである。
 この映画のいわゆる胸キュンぶりも、好きだなと思った女の子がいたら、僕はうじうじせずに、即、告白実行するタイプだったので、この映画の主人公達の胸キュンぶりを、何をぐずぐずしているんだと感じてしまい、共感や、笑いに転化していかない。
 もとが、少女コミックが原作のラブコメだから、笑って見ていればいいのだが、登場する大人たちのお笑いシーンも、オーバー過ぎる気がする。
 僕は、白髪こそ増えたが、カツラが必要なほどではない。
 だから、この映画ではカツラでじたばたする教師が登場するが、なにもそんなに大騒ぎする事ないんじゃない……と、若い人が笑えるほど、面白いとは思えない。
 むしろ、笑いのネタに使うのが、嫌みに感じたり、わざとらしく感じてしまう。
 要するに、僕は、この映画にとっては、歳を取りすぎた、浮いた観客だったのかも知れない。
 しかし、今の若い子たちは、この程度のことで、面白がったり胸キュンするなんて、以外と古風だなあ……という気もする、
 僕たちが、中学生や、高校生の時は、恋愛だって、もっと進んでいた気がするのだが、それは、僕だけの事だろうか……。
 余計な事だが、主人公の男の子の、元彼女になる女の子のほうが、主人公の女の子より、なんとなく、けなげで、かわいらしく思えた。
 僕なら、すぐ、よりを戻すだろう。
 もう一つ、ある女の子が着物(ゆかた)を着る時、下着を身に着けていないと語るお祭りのシーンがあって、これには、びっくりした。
 明治、大正、昭和初期じゃああるまいし、このシーンは笑った。
 三十年四十年前の女の子でも、僕の知る限りそんな女の子は、いなかった筈である。
 ただし、それを聞いた男の子が、興奮して、鼻血を出すのは、いくら原作がコミックだとしても、やりすぎである。
 全体的に、可愛いといえば可愛い、他愛のない映画だった。