首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

まさか、まさか、の「涙そうそう」

歯が抜けるのが心配で、今日は、病院の検診に行った麻布十番カニ雑炊を食べた。
 なべ物の締めで、ご飯を入れる雑炊は、何度も食べているが、雑炊単体を食べたのは久しぶりだった。
 歯が気になって、美味いか不味いか、分からなくて、店の人には気の毒だった。
 歯医者に言わせると、歯はもうちゃんと固定されているから大丈夫だというのだが、まさかということもあるから、当分は、柔らかめの食事で我慢しておこうと思う。
 食事の後、時間があったので、「涙そうそう」という映画を見た。
 これが、また、まさか、まさか、の連続の映画だった。
 いくらお涙頂戴映画でも、まさか、こんなストーリーを作るとは思わなかったという意味でのまさかである。
 五十年前のお涙頂戴映画でも、まさかこんな手は使わないだろうというぐらい、古風なお涙頂戴ストーリーの定石通りに、事が運んで行く。
 まさか、この手は使わないだろう……と思っていると、ちゃんと使ってくれるのである。
 これでも泣かんか……これでも泣かんか……の連続である。
いくら、森山良子さん作詞の佳曲がモチーフになっているとしても、やり過ぎという言葉がある。
 製作者は、観客を馬鹿にしているのだろうか?
 こんな手で、観客は泣いてくれるのだろうか?
 と、劇場を見回すと、あちこちからすすり泣きの声が聞こえる。
 まさかと耳を疑った。
 まさか、まさか、の展開で、気がつけば映画は終わっていた。
 沖縄が舞台だが、最後まで、なぜ、沖縄を舞台にしたのかも分からない、まさかのストーリーである。
 あんまり、まさかが続くので、笑うに笑えず、つまらない映画を見ると眠くなるのも忘れて最後まで見てしまった。
 ただし……主役の長澤まさみさんは、かわいかった。
 もっともそれは、映画の内容とは関係ない、おじさんである僕の趣味である。