首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

クリスマス雑感

クリスマスである。
 二十二日は、打ち合わせのあと、夜、高校時代の友人(男性)と、新宿の西口で久しぶりにあって食事をしながら、昔ばなしと、互いの近況の話をした。
 周りは、男女のカップルばかりである。
 彼との友人関係は、40年近く続いている。
 高校を出て以来、全く違う環境で、全然違う職業をしている友人で、彼は真面目な男で、僕はどちらかと言えば不良である。互いに違うからこそ、交友関係が続いて来たとも言えるかもしれない。
 彼は僕の青春時代から今までを、もしかしたら、誰よりも良く知っている友人である。
 そんな友人達も、この歳になると、五本の指で数えられる程、少なくなってしまった。
 ここまで来たら、彼とは死ぬまで交友関係が続くと思う。
 この人、僕の昔の女性関係?の殆どを知っている。
 だから、彼と会うと、昔の僕のガールフレンドのことを、僕が忘れかけている人まで思いだせる仕組みになっている。
 昔は、クリスマスの日近くで、この友人と会うことなど殆どなかった。
 あたりまえだが、クリスマスと言えば、僕は男性とではなく、女性と会っていた。
 それが、ついに、クリスマスあたりで、彼と会い昔の話をするようになってしまった。
 何となく、感無量である。
 ついつい長話になり、夜、遅くなり、翌日は休日、どこに消えるか分からない男女のカップルがわんさといる中で、おじさん二人は、「よいお年を……」などと、互いの今後の健康を祈って別れた。
 それから、渋谷にでて、一人でふらふらと仕事場に戻った。
 渋谷は、深夜なのにクリスマスのイルミネーションが輝き、新宿以上に、若い人がいっぱいである。
 何となく、いまいましい気分にさせられたのは、まだ、僕にも不良性のかけらが、残っているからかもしれない。
 二十三日は、今年中の仕事を全部終わらせようと、殆ど徹夜で仕事の整理をしたが、来年に持ち越しそうなものがかなり出てきてしまった。
 今年の年末と来年の年始は、仕事をする気が、最初からなかったから、そのまま、来年に持ち越しである。
 年賀状もそろそろ、書かなければならないだろう。
 そして、いよいよ、昨日の二十四日は、全国的に、クリスマス・イブである。
 人並みに家族サービスで、渋谷に出た。
 小田原にいた頃は、クリスマス・ツリーを飾るぐらいで、七面鳥か鶏を食べ、夜は娘の所に来るサンタクロースを待って?比較的静かに過ごしていたが、東京だとそうもいかない。
 東京のクリスマスは、女性を元気にさせ、外出をさせたがる。
 いつもは、渋谷のシニアコースを歩くのだが、娘を連れているので何年ぶりかで若い人向きのコースに行って見た。
 要するにスペイン坂とか、パルコ周辺である。
 気持ちは楽しいが、若い人達のラッシュにもまれて、娘に引っ張り回され、ほとほとくたびれた。
 四十歳過ぎまで、不良独身だったおじさんの僕には、一回りも離れた妻と結婚して父親稼業をするには、歳を取りすぎているのかも知れない。
 いちおう、アニメを仕事にしていることになっているから、若い人の空気を吸うのは悪いことではないが、今のアニメの対象は、子供か、二十代後半、三十代から四十代の少し歳を取った若い人?だから、その間のハイティーンから二十代周辺のヤングの思考は参考にならないとも言われている。
 だが、体は疲れても、クリスマスというとなんとなく気持ちが落ち着かない僕は、そうとう変なおじさん坊やなのかもしれない。
 娘にしたって、もうすぐ父親なんてどうでもよくなり、ボーイフレンドを見つけてクリスマスを楽しむようになるだろうから、ともかく、そんなクリスマスが来る日までは、気分だけでも若いつもりで頑張ろうと思う。