首藤剛志のふらふらファイル箱

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未公開作品「幻夢戦記レダ2」その16

  (仮名)幻夢戦記レダ2   テイスト オブ ハニー (蜜の味)

             その16      ストーリー 首藤剛志
                       脚本    首藤剛志



○砦                                      
     蟻塚の様な砦……                         
     周囲を泥の壁が取り囲んでいる。                    
     様々な浮遊エンジンで、兵士達が飛び回っている。            
     海底散歩用のスクリューエンジン風のメカニック(エアースクリュー)で空を
     飛ぶ兵士もいる。                           
     陽子達を乗せた、フローターが降りていく。               
                                        
○砦を見降ろす丘                                
     茂みから、裕子と健一が砦を見ている。                 
 裕子「助ける手は・・・・・ と」                          
 健一「ああ・・・・・ 」                              
     ふと気が付くと、裕子と健一、手を握りあったままだ。          
 裕子「あっ!」                               
     慌てて手を離してうつむく。                      
 健一「あの・・・・・ 」                              
 裕子「(赤くなり)こんなことはじめて・・・・・ 」                 
 健一「えっ? いや、その・・・・・ 子供が生まれる訳じゃなし。」          
     健一は、ボカッと殴り倒される。                    
                                        
○砦の中庭                                   
     カブト虫のような兵隊長の前に、陽子達が引き出されていく。       
 隊長「お前達は何者だ。」                           
 杏子「一応、人間の女の子」                          
 隊長「人間? レダの戦士だな?」                       
 杏子「それ、なりたくてなったんじゃない。レダの戦士なんて御免だね。」     
 隊長「この世界に、レダの戦士以外の人間は入りこめぬ。戦士でなければ死んでもらう」
      兵士達、槍をかまえる。                        
 晶子「戦士達だったら、助けてくれるんですか? だったら私達、戦士ですけど・・・・」
 隊長「ふむ」                                 
     隊長は兵士に合図する。                        
     三人の前に、剣とムチと弓が投げ出される。               
 隊長「戦士は闘い続けなければいけない。闘って勝てば死なぬが、敗ければ死ぬだろう
     兵士達の間から、ひときわグロテスクな、戦闘用の昆虫が現われる。    
 杏子「よーするに、戦士であろうとなかろうと同じって事か。」          
     杏子、ムチを拾うといきなり、隊長の首をからめる。           
 杏子「手、出すんじゃないよ。」                        
 隊長「囮は無駄だ。戦士の闘う運命は変らぬ。」                 
     兵士達、襲いかかってくる。                      
     隊長、あっという間に、兵士達に槍で刺され倒れる。           
                                        
 杏子「!!」                                  
 晶子「やるっきゃない。」                           
     晶子は陽子の剣を拾うと、無茶苦茶に振り回す。             
     杏子のムチがなる。                          
     陽子は、ただおろおろするばかりだ。                  
     突然、中庭で閃光が光る。                       
     兵士達、闘いをやめる。                        
     砦の壁の上に、裕子と健一がいる。                   
     裕子の腕から発光弾が発射される。                   
     中庭で、次々と閃光が膨れ上がる。                   
     兵士達、よろよろと光に向かって行く。                 
 裕子「やっぱあいつら、性格昆虫だわ。光に誘われている。」           
 健一「あんたは、偉い。さあ、みんな逃げるんだ!」               
     晶子、剣を陽子に投げ渡して、弓を拾う。                
 晶子「行こう!」                               
 陽子「う、うん。」                              
     三人、壁へ向かって走る。                       
     杏子がムチを、壁の取っ手にからみつかせ、晶子を登らせる。       
 杏子「さ、陽子。」                              
 陽子「だめ! 私登れない・・・・・ 体育2だもん。」                
 杏子「冗談よせよ! 生きるか死ぬかって時に、成績で評価されてたまるか。」   
 陽子「出来ないものは出来ないわ。わたし、もういいの、かまわず逃げて!」    
 杏子「馬鹿野郎!」                              
     バシンと頬を殴る。                          
杏子「カッコつけたって、誰も喜ばないよ。掴まんな。」             
 陽子「でも・・・・」                               
 杏子「もう一度殴られたいのか?」                       
 陽子「杏子・・・・」                               
 杏子「あーじれったい。いい加減にせい。」                   
 陽子「うん。」                                
     杏子、陽子を背にして、するすると登り始める。             
     兵士達も後を追う。                          
     裕子の撃つ発光弾が、壁から兵士達を叩き落とす。            
     壁の上に杏子と陽子来る。                       
 杏子「やればできるんだよ、な。」                       
     裕子が叫ぶ。                             
 裕子「ここは私に任せて・・・・・ 」                        
     戸惑う四人・・・・                            

 裕子「科学の勝利じゃ!」                           
     裕子は、発光弾を連射する。                      
 杏子「OK、又、会おう!」                          
 裕子「お・ま・か・せ!」                           
     四人、壁から飛び降りて森へ走る。                   
     裕子の弾が切れる。                          
     胸のビジョンがゲームオーバーを示す。                 
 裕子「チェッ、打ち止めか・・・・・ 」                       
     裕子、壁から飛び下り、森へ駈け込む。                 
                                        
○森A                                     
     裕子、走って来る。                          
     バシン!                               
     いきなり、物影から飛び出してきた白い人影に体当たりされる。      
     倒れる裕子。                             
     眼鏡が飛ぶ。                             
 裕子「なに!? どうしたの?」                         
     裕子、眼鏡を探る。                          
     その後に白い影……                        
     近づいてくる。                            
     裕子、気付いて腰をついたまま後ずさる。                
 裕子「誰? 誰なの・・・・・ 」                          
     ぼんやりして見えない。                        
     後手に、眼鏡が触れる                         
     裕子、眼鏡をかける。                         
     次第にはっきりする視界……                    
     目前にゼンの顔がある。                        
 ゼン「よく、私を見るがよい。お前は、私の物だ。」               
     ゼンの目が光る。                           
     陶然となっていく裕子の顔????                   
     ゼン、裕子に口ずけをする。                      
     パリン、眼鏡のレンズが割れる。                    
                                        

(17へつづく)