首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

おすすめジンギスカン料理

 引きこもりの食料が切れ、渋谷の街に、食料を買い出しにいった。
 久しぶりに歩いたので、足元がふらふらする。
 通り過ぎる人たちと、肩がぶつかりそうになる。
 人通りの多い渋谷の街を歩くには、それなりのタイミングとコツが必要なのに気がつく。
 多分、渋谷で一番大きいと思われる本屋を覗いたら、新刊書のコーナーが、知らない本ばかりになっている。
 わずか一週間のご無沙汰でこの有り様である。
 都会の時間の流れの早さに、今更ながらに呆れた。
 コメントでジンギスカン料理の事を書いてくださった方がいた。
 子供の頃は北海道育ちと言ってもいい僕にとって……といっても五年間ぐらいだが……ジンギスカンは、家庭の常食だった。
 肉料理と言えば、牛や豚ではなく羊(マトン、柔らかいのを食べたい時はラムということになる)だった。
それぞれの家に、それぞれのみそ汁があるように、僕の家にも、首藤家流のタレがあった。外の店で食べた事など無かったから、僕の家のジンギスカンが、本当のジンギスカンだと思っていた。
 東京にもジンギスカンを食べさせる店が増えてきたから、立ち寄る事も多いが、僕の家と同じタレに、出会ったことがない。
 あまりにも違うので、東京で外食するジンギスカン料理をおいしいと思った事が無い。
 おまけに、それぞれの店が微妙に違っていらいらさせられる。
 ということは、ジンギスカンには、これと言って決まったタレはないということになる。
 うちのタレは、醤油と若干の酒、みりんを煮て火を止め、そこに……(ココがみそである)すり下ろしたタマネギをまず入れて、次に時間を見計らって、すり下ろしたリンゴをどさりといれる。好みでニンニクを少々……
 すり下ろしたタマネギとリンゴを入れる時期が、コツである。リンゴの種類でもタレの甘さが違ってくるからご注意を……うちでは母だけがそのコツを知っている秘伝である。
 中学生の頃は、渋谷にマトンやラムを売る肉屋さんが、僕の知るところ一軒しか無くて手に入れるのに苦労したものである。 
 最近は、東京でも羊の肉は手に入りやすくなった。
 羊のにおいを気にする人もいるが(そこがいいという人も当然いる)、大人のマトンはともかく、小羊のラムは、さほど気にならない。英国では、牛より羊の方が高級料理である。
 ともかく一度、お試しください。
 ヘルメットのようなジンギスカン用の鍋は、初心者はあまり気にしなくて、普通のフライパンでもいいと思う。
 コツは、焼き過ぎない事……ミディアムレアで、タレに付けて食べる。
 ジンギスカンのしゃぶしゃぶもあるが(ジンギスカンの原点はしゃぶしゃぶだという説もある)、
 まさにその感覚で、さっと焼く。
 野菜、キノコの類は、はなんでも一緒に焼いていいが、うちでは、水っぽいもやしは使わない。
 なぜ、外食店でもやしが必ず付いてくるのか不思議でしょうがない。
 うちでは、ジャガイモ(馬鈴薯)の薄切りをかかさない。そして、トウモロコシも捨てがたい。
 ただし、茶の間でやる時、焼き上げる時にもうもうと出る煙の始末だけは、なんとか、それぞれ工夫してください。
 それに、一人で食べるには、やはり鍋だけに、わびしい料理ではある。みんなで食べよう。