首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

未発表作「幻夢戦記レダ2」その21

 (仮題)「幻夢戦記レダ2」 テイスト オブ ハニー  その21
                        ストーリー・脚本 首藤剛志       

○ 新宿 地下道
     陽子、息が切れてくる。                        
     転ぶ・・・・。                              
     立ち上がる                              
     しかし、前方にも兵士。                        
     後ろにもゼンと追っ手がいる。                     
     陽子、よろけながら逃げる。                      
                                        
○デパートのショーウインド                           
     ウェディングドレスが飾ってある。                   
     疲れ果てて動けない陽子が、ショーウインドを背によりかかる。      
 ゼン「逃げられないと云ったろう。その指輪のある限り、お前はわたしのものだ。」 
     ゼンが近づいてくる。                         
     陽子の顎に手をやる。                         
 ゼン「さあ、レダ・・・・お前の国へ行こう・・・・」                  
     陽子の目が陶然となっていく。                     
     陽子、うなされた様にかぶりを振る。                  
 陽子「違う・・・・わたしはレダじやない。わたしは・・・・陽子・・・・そう・・・・わたしは陽子」
     陽子、指輪を抜く。                          
 陽子「こんなもの・・・・・ こんなものいらない。」                 
     指輪をゼンの顔に投げる。                       
 ゼン「ウッ!」                                
     指輪は、ゼンの額に傷をつけ、宙に舞う。                
     指輪が光る。                             
 陽子の声「誰か、誰か、助けて!」                       
                                        
○公園                                     
     バイクに乗っている杏子が静止している。                
     指の指輪が光り、はじける。                      
     杏子、我にかえる。                          
 杏子「ん?」                                 
                                        
レダの神殿                                  
     健一に抱き起こされている杏子の指輪もはじける。            
                                        
○予備校                                    
     計算器を使って授業を受けている裕子が静止している。          
     その指輪がはじける。                         
     計算器の数字が、11111111110に変わる。           
 裕子「えっ?」                                
                                        
レダの神殿                                  
     白蝋化した裕子の指輪がはじける。                   
     元に姿に戻る裕子。                          
                                        
弓道場                                    
     晶子、今まさに、矢を放とうとした姿で静止している。          
     指輪がはじけ……矢が放たれ、的に命中する。            
 晶子「やったね。」                              
                                        
レダの神殿                                  
     白蝋化した晶子の指輪がはじける。                   
     みるみる元の姿に戻っていく。                     
                                        
レダの神殿                                  
 杏子「陽子!・・・・待ってな。」                         
     杏子、エアースクリューのエンジンをかける。              
 杏子「行くよ。」                               
 健一「了解!」                                
     健一、落ちている陽子の剣を拾って、杏子の背中にしがみつく。      
     エアースクリューはすっ飛んで行く。                  
                                        
○デパートのショーウインドーの前                        
     額から青い血を流しながら、ゼンが陽子に迫る。             
 ゼン「今更何をしても無駄だ・・・・。」                      
                                        
○公園                                     
     オートバイの750cc に乗る杏子に、エアースクリューの杏子がWる。              750cc に翼がつき、後部座席には、健一が乗っている。          
 杏子「しっかり掴まってな。」                         
     750cc 、宙をすっ飛んで行く。                     
                                        
○デパートのショーウインドーの前                        
 ゼン「お前はわたしのもの・・・・逃げられはせぬ。」                
     ゼンの目の光り……                        
     陽子の気が遠くなりそうになる。                    
     その時……。                           
     ガチャーン!                             
     杏子の750cc が突っ込んでくる。                    
     我に返る陽子。                            
 陽子「杏子!」                                
 杏子「ハーイ! 手伝いに来たぜ。」                      
     次の瞬間、兵士の何人かが、矢で倒される。               
     晶子が弓を持って立っている。                     
 晶子「わたしもね。」                             
     兵士達の真ん中で、砲弾が炸裂する。                  
     小型爆弾を持った裕子が立っている。                        裕子「確率としては、わたしもこんにちわしないと、おっかしいもんね。」     
 陽子「みんな・・・・!」                             
 杏子「雑魚は私達に任せな・・・・けど、そいつは陽子でなきゃダメだ。」       
 陽子「えっ?」                                
 健一「そうさ、この世界は、君が作ったんだからね。さ、これを。」        
     健一、剣を陽子に投げる。                       
     陽子、剣を受け取る。                         
 陽子「ええ、私は、私はケリをつけるわ。」                   
     剣が光る。                              
     セーラー服がはじけ飛び、レダの戦士の衣装になる。           
     ゼンに向きなおる。                          
 陽子「あんたなんか、いらない!」                       
     陽子、猛然と剣を打ち込む。                      
     ゼンも剣を抜いて受けとめる。                     
 ゼン「おまえは、私には勝てない!」                      
 陽子「勝つわ」                                
     火花を散らして交錯する剣。                      
     杏子も晶子も、死に物狂いで兵士達と闘う。               
     健一、ただ呆然と見守るのみだ。                    
     流れ弾や弓矢に、頭を抱えてよける。                  
     ふっと下を見ると、そこに銀の指輪が落ちている。            
                                        
                              (次回につづく)