首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

「間宮兄弟」

今、放映中のアニメのアフレコスタジオに行ったついでに、渋谷駅前のビデオレンタル店を覗いた。
 日本映画の棚にいくと、去年、見た映画だが、いまだにかなりの数が借りられている映画のひとつに、森田芳光監督 脚本「間宮兄弟」がある。
 森田氏とは、直接会った記憶はないのだが、同じ小学校、同じ中学校で、同学年だったらしい。
 クラスが一緒だった事はなく、大人になって脚本で食べて行けるようになった頃、同じ小中学校の何人もの友人から、僕が脚本家をやっているなら、森田芳光監督を知っているかと、いつも聞かれるので、その名前を意識させられた。
 更に、アニメの「魔法のプリンセス・ミンキーモモ」や「さすがの猿飛」「宇宙戦士バルディオス」などで、若い頃、僕と一緒に脚本を書いていた筒井ともみさんの脚本で、コンビのように映画「それから」「失楽園」「阿修羅のごとく」などを作ったので、日頃、筒井さんの作品が気になっている僕としては、なおさら一層、森田氏が気になりだし、森田氏が監督した映画は、上映されたものは全部観ている筈である。
 それらの作品はそれぞれいろいろ工夫が凝らされていて、当たり外れの振幅の多い監督だが、初期の「家族ゲーム」などかなり面白い映画で、今では日本の映画監督としては、著名な人の一人である。
 今回の「間宮兄弟」は、脚本も森田氏自身が書いている。
 大人になっても、子供の頃のようにじゃれあっている兄弟の日常を描いた奇妙な作品である。
 兄と弟はいつも一緒にいて、寝る部屋も一緒、マンションにはバスルームがあるだろうに、わざわざ銭湯に行って一緒に風呂に入る。
 ほのぼのしているといえば、ほのぼのしているが、なんとも、奇妙な映画である。
 向かいのマンションの窓には、時々、思わせぶりに女性が立っているがストーリーにはからんでこない。
 銭湯に入っている兄弟のシーンには、いつも隣に体の大きな誰かが入って来て、お湯の表面が大きく揺れるが、その誰かさんの顔や体は画面に映らない。
 そんな意味の分からない、いろいろな工夫をした演出が随所に出てきて、退屈はしないが、なぜ、そんな演出が必要なのかは最後まで分からない。
 全体としてつまらなくはないが、特に面白いとも思えない。
 なぜ、今、こんな奇妙な兄弟を題材にして映画を作るのかも、僕には分からなかった。
 誰か、この映画の面白さや良さが分かる人がいれば、どこが面白くてどこが良いのか教えて欲しい。
 つまらない映画と切り捨ててしまうにはいかない、変な魅力がある作品である事は確かだ。
 ただ、現実にこんな兄弟がいるとしたら、僕はお付き合いしたいとは思わない。