首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

「渋谷のコウモリ」

イメージ 1

 先日、ドイツの女性の事をブログに書いたら、別に隠していたつもりも、嘘をついたつもりもないのだが、電話で妻からひどく怒られた。
 妻が怒る気持も分かるから、返す言葉もない。
 悄然として、渋谷の街を歩いていたら、いつも通りの人波の多さになんとなく、いらいらしてきて、仕事場のすぐそばにある松涛(しょうとう)公園のベンチで一服した。
 渋谷のど真ん中にある小さな公園だが、それでも、人影が少なく、池や木々があり、ほっとする。
 こんな時は、数年前まで小田原の海辺にあった仕事場が、なつかしくなる。
 裏はミカン畑で、少し歩けば、テトラポットだらけにしろ、白く波立つ海があった。
 いらいらする時や、考え事のある時は、海を見ていれば、なんとなく落ち着けた。
 僕にとっては、小学生の時から住んでいて勝手知ったる渋谷のはずだが、歳を取ると、その騒がしさがうっとうしい時もある。
 小田原の仕事場にいたほうが、良かったかなあ……と、時々思う事もある。
 今の渋谷は、僕には場違いな気もする。
 夕暮れが近くなり、ベンチの後を、子供が叫びながら駆けて行った。
「ママ……コウモリがいるよ。コウモリだよ」
 池の上を良く見ると、数匹? (数羽?)の小さなコウモリが、確かに飛んでいる。
 渋谷にコウモリ……?
 渋谷でカラスは良く見かけるが、コウモリを見たのは初めてのような気がする。
 場違いな奴が、それでもしっかり生きているんだなあ。
 なんとなくほっとして、暗くなるまで、コウモリが飛び交うのをぼんやり眺めていた。
 写真は、冬に撮った、明るい時間の松涛公園である。……