首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

「オタク論!」

「オタク」「ロリコン」「萌え」の元祖、本家とまでは言われないものの、仕掛け人の一人だと、僕の事を呼ぶ人がいる。
 おそらく、「ミンキーモモ」という魔女っ子系アニメや「アイドル天使ようこそようこ」というマニアックな少女アニメを書いたからだろうが、僕自身は無趣味が趣味のような人間で、何事も広く浅くがモットーで、特に女の子は、父を除いて母。祖母。妹二人。父の妹。周りが女性ばっかりの環境で育ったせいか、いささかうんざり気味で、そのくせ、小学生の頃から、生きもの?のガールフレンドが、その時々に入れ替わり立ち替わりいたので、青春期に女の子の姿が目の前から消えた時期もなく、だから、二次元のしかも絵で書いた女の子など全く関心がなかったといっていい。
 しかし、「オタク」「ロリコン」「萌え」などの呼び名は、アニメの脚本を書く度に周囲に聞こえるから、身に覚えが無くとも気にはしていた。
 で、今日、ふと、本屋をのぞくと「オタク論!」という本が目に飛び込んできた。
 唐沢俊一氏と岡田斗司夫氏の対談集である。……創出版……帯に、「今さらオタク論で唐沢・岡田じゃないだろう、というヤツもいるけれど、後に続くのがいないから仕方ない(笑)。そのあたりを分かって読んでほしい。」と書かれている。
 そのあたりを分かりたいので、買って読む事にした。
 2007年4月27日初版第一刷発行本である。
 岡田氏とは、十年ほど前に、座談会かインタビューで、お会いした事がある。
 その時は、これが噂のオタキングかと思い、ついでといってはなんだが、「と学会……トンデモ本学会」の山本弘氏……この人自他共に許す「アイドル天使ようこそようこ」のファンである……もいたので、僕も張り切って、聞かれもしない事をべらべらしゃべりまくって、えらく疲れた憶えがある。
 あ……あの時のギャラ、貰ってない……。
 あの座談会はノーギャラだったのだろうか?
 その座談会の為に、僕はわざわざ小田原から、山本氏にいたっては大阪から、東京にやって来たと言っていたが……ま、いまさら、文句を言う気は無いが、思い出したので書いておく。
 で、「オタク論!」……その本の題名もなんとなく自虐的だが、いちいちごもっともなお話で勉強になった。
 大宅壮一氏が、TVの黎明期に「一億総白痴」と言う言葉を作ったが、この本は「一億総オタク」を憂いているようでおかしかった。
 オタク第一世代の(とこの本の帯に書いてある)オタクの王様二人が、最近の若いオタクは……と、説教をしているみたいで、ともかく笑えるのである。
 確かに、今の日本、生まれも育ちもオタクで、老後もオタクで生きて行く人がほとんどの世界になるかもしれない。
 オタクの話が「論!」で上がっちゃう日本は、本当に幸せな国である。
 同時に買って読んだのが、娘に読ませようと思った子供向きの「みんなで考えよう 世界を見る目が変る50の事実」ジェシカ・ウイリアムス著……草思社。こちらは、世界がいかに悲惨な状態かを、少し説教臭いが分かりやすく説明してくれている。……だっただけに、なおさら日本は、おめでたい国だと思う。
 二冊、同時の読み合わせ?がまずかったのだろうか?
 悪酔いしたような気分になった。