首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

「スパイダーマン3」

 どうも気分がすっきりしない。
 こんな時には、お馬鹿なアメコミ映画でも見るかと「スパイダーマン3」に行った。
 なんだか大ヒットしているらしいが、劇場はそれほど混んでいなかった。
 もっとも、平日の昼間だから仕方ないのかもしれない。
 一作目二作目は、この手のものとしては、面白かった気がするが、三作目は、
なんだかスカッとしない。
 登場人物がやたら多くて、それぞれ、思い違いの復讐やら、挫折やら、高慢やら、ステロタイプの感情を抱えていて、うっとうしい。
 それをなんとか「許し合う」という感情でまとめる為に、交通整理のおまわりさんのように苦労したんだろう脚本家に同情してしまう。
 きっと、スタッフのいろいろな人から、あれ入れろ、これ入れろ、それ入れろ……観客みんなを満足させろと、言われ、書き直しにつぐ書き直しで、頭ごちゃごちゃになったんだろうと思ってかわいそうである。
 なんとか、交通整理はできたものの、だからなんなの? 何が言いたかったの?……である。
 製作費いっぱいかけて、ともかく、事故が起こらなくて……つまり興行的にこけなくて……よかったね……だけの映画の感じがする。
 主要キャラクターのうち、二人が死んじゃうが、この人たちも、わざわざ死ななくても「許し合い」のどさくさに紛れて生き延びてもいいんじゃないかと思う。
 こんだけいっぱい人が出てくるんだから、誰か死なないとまずいんじゃない……って感じで、くじ運が悪くて死んでしまったような感じである。
 多分、大金をつぎ込んだんだろうCGも、画面が夜とか地下とかが多く、暗くてその出来が良く分からないのも、ちょっと損だと思う。
 ふと我が身を見れば、僕も脚本家である。
 こんな映画の脚本を、書かされることになったら、多分、統合失笑症?になっちゃうな……なんて、この映画の脚本を書いた人が気の毒で気の毒で、すっきりさせるつもりの僕の気分は、かえって重くなってしまった。
 もっとも、史上最大だとかの製作費の作品である。
 脚本のギャラも高いだろうからいいか……