首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

プロット「幻夢戦記レダ2」完結

 このプロットを元に、様々な関係者によって検討され(仮題)「幻夢戦記レダ2」テイスト オブ ハニーのシナリオが書かれました。
 興味のある方はプロットが、どのようにシナリオに変わるか参考にしてください。
 でき上がったシナリオは、すでに、この書庫に掲載されています。
 登場する名前は、密陀からレダに変更されるなど色々変わっています。
 なお、このプロットの著作権首藤剛志にあります。

               (仮題)「幻夢戦記レダ2」 
               ハ ニ ー ト ラ ッ プ (蜜の罠)
                    プロット
                          作  首 藤 剛 志     
          (その2完結)
 
 蜜陀の神像から凄まじい光が発し、陽子の体を包んだ。
 次の瞬間、陽子の剣は、善をつら抜いていた。
 蜜陀の神像が割れ、中から、美しい女性が現れた。
「陽子、あなたが、新しい蜜陀なのですね」
 陽子には、訳が分らなかった。
 美しい女性は、この不思議な世界の仕組みを、陽子に話してくれた。
「ここは、蜜蜂の世界なのです。一人の女王が、全ての男達を支配して世界を治めている
のです。三百年前、私が女王になって、この世界を支配してきました。
そして、私にも寿命が来ました、
次の女王を決める為、あなた達をテストしていたのです」
 女王は、三百年前、銀の指輪を託した女を、野に放ち、人間の世界で娘を生ませた。
 その娘が、娘を生み、遂に、三百年たった時、蜜蜂の世界の血を引く少女達を集め、そ
の中から女王を選ぼうとしたのだ。
 陽子の夢の記憶は、三百年前のものだったのだ。
 女王は、恭子に、蜜陀の指輪を手渡そうとした。
 だが陽子は断わった。
 何十人もの少女達の運命を支配し、消さったこの世界が許せなかったのだ。
 そして、陽子が女王になれば、又、三百年後に同じ繰り返しが起きる。
 それに、蜂の女王は、たった一人で、何百人もの働き蜂を生まなければならないのだ。
 それは、一体誰の子なの?……                         
 陽子は、その時、この女王自体も、誰かに動かされている様な気がした。
 女王の背後に、善が現れた。
「そう蜜陀は、私の奴隷だ……お前が嫌がっても、私が、お前を、奴隷にしてやる」
「私は、誰の奴隷にもならないわ!」
 陽子と善の間で、最後の戦いが始まった。
 それは、陽子の胸の中を今も支配しているラブレターの男との訣別の戦いでもあった。

 そして……善を打ち破った時、全ての世界は消えた。
「みつかべ村」も駅も、レンゲの花畑も消えた。
                   *                    
 新学期が始まった。
 いつもと変らぬ日常がある。
 あれは、夢だったのだろうか?
 だが、陽子の指には、あの銀の指輪が光っていた。
 公園のベンチにぼんやり坐っている陽子に手を振りながら健一が走ってくる。
 微笑してベンチから立ちあがる陽子に、健一は肩をすくめていった。
「君にはかなわない。僕には器が違い過ぎるさ」
 健一は、陽子の前を去ると、杏子と肩を並べて歩き始めた。
 やはり、あれは夢じゃなかったのだろうか……
 いずれにしろ、陽子は、ラブレターの男に続いて、健一にも振られたようだ。
 陽子は、肩をすくめた。
「ま、いいか……」
 そして、銀の指輪を投げ捨てた。
 陽子はもうすぐ十八歳……
 陽子の中には、新しい何かが始まろうとしている。
 新しい何かが待っている筈だ。
 陽子は新しい何かに向かって、元気よく歩き始めた。
                                        
                                        
                                        
                    ある少女のある一時期の惑いの時間に……
                                        
                                        
                                   …完…