首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

[俺たちフィギャアスケーター」

 製作費60億で真面目に作り公開したら、あっという間に元を取り戻したアメリカの大ヒットおバカ映画……
 けれど、この手のおバカ映画は、日本では受けないと劇場公開しないつもりでいたら「いや、絶対ヒットする」と言い出した少数おバカ日本人のお陰で、日本で劇場公開されることになったらしい。
 僕の立場からしたら余計な事をしてくれたものである。
 この映画のバカバカしさは確かに面白い。しかし、日本人には見せて欲しくなかった。
 実はこの映画に似たような似ていないようなネタの作品を計画中だったからである。
 この映画のおバカさのハードルを華麗なジャンプ?で飛び越えるのは、並大抵のことではないだろう。
 で、もって、こちらのネタの元ネタは、この映画ね……なんて言われたら目も当てられない。
 もうこうなったら、この映画がめちゃくちゃヒットしてくれることを願うしかない。
、「俺たちフィギュアスケーター」が、ヒットしたからこっちの作品もヒットするだろうと、お金を出してくれる人たちが乗り気になってくれれば大助かりだからである。
 いえ、こっちの作品は、60億円もいりませんから……
 こうなったら「俺たちフィギャアスケーター」を、徹底的に 「よいしょ」するしかない。
 事実、この正月、面白いといったらこの映画と、これも韓国のおバカ映画と言っていい「カンナさん大成功です!」が、頭抜けている。
 この二本を見れば、新春のお笑いは充分である。
 日本にも「転々」というおバカ映画があるが、こちらの出来は???である。
「俺たちフィギャアスケーター」の一般的なバカ面白さは、このブログを書いている時点で、インターネットで評判になっているし予告編も見ることができるから、しつこく言うのは止めにしておく。
 僕がこの映画で残念なのは、僕が米語が出来て、アメリカの実情に詳しかったら、もっとこの映画を笑えただろうと思う点だけである。
 満員の劇場で、ほかの観客は笑わないシーンなのに、ポツンポツンと爆笑している客がいるのは、きっとそこいらが分かって笑っているのだろう。
 僕がこの映画で一番笑ったシーンも、他の観客の笑いは少なかった。
 そのシーンは、主役の一人がある依存症の集会に出席するくだりである。
 この映画、ある意味で依存症についての映画でもあるのだ。
 フィギュア依存。金メダル依存。そして、この主人公の依存症。他にも様々な依存症気味の人物が出てくる。
 日本では、アルコール依存や薬物依存が目立っていて、その治療をする集会が、大都会では毎日のように開かれている。
 その集会の様子を体験してみたことのある人なら、主人公の依存症治療に対する気持ちが分かって爆笑するか、涙するしかないのである。
 そんな主人公が、よりによって男とペアを組まなくてはならないおバカな苦悩……クライマックス、お約束の悪玉ライバルペアの妨害を振り切って、時間ぎりぎりに競技に間に合い、相方に叫ぶ言葉が、「俺は間に合ったぜ」でもなく、「俺は生きてるぜ」でもなく「俺はここにいる」でもなく、「お前の彼女は……じゃない!」なのは、この主人公を物語る最高の名セリフで、おバカな感動にあふれていて、僕は爆笑しつつも、上手いセリフを考えるなあと感心したのである。
 悪玉ライバルペアといえば、こういう話はライバルのフィギャアスケートも凄くなければならないのがお約束である。
 どんな技を見せるのだろうと思っていたら、この手があったかの不謹慎演技?……こんなの許されるのか?
 そして、それぞれのフィギャア演技につけられる選曲のバカバカしさ。……いちいち笑える。
 ともかく、真面目におバカをやれば、アメリカ一番、下品も不謹慎も吹っ飛び、僕にとっては痛快ですらある映画……こんな映画で、アメリカ万歳ができるのなら、他の国まで行って戦争しなくてもいいのになんてついつい思ってしまうのは余計なことか。……