首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

K20 怪人20面相伝

昔、むかし、といっても、ちょっとだけむかし、僕が生まれたころの、どこかの日本の、どこかの東京に、怪盗さんと、探偵さんと、お育ちのいいお嬢様がおりまして、♪ぼぼ僕らは少年探偵団~の小林少年も出てくるお話です。
日本テレビ55周年がからんでいるし、題名も252ならぬK20なんて数字がついているし、イヤーな予感で見たのですが、これが、あなた、パターンとお約束が目いっぱい入って、つまらないかというと、バカみたいに面白いから驚きました。
東映系の252と同じ時期に、東宝系だと、バカバカしさがしらけから大笑いに変わるから不思議です。
怪盗指南書みたいなのが出てきて、その1、街中はまっすぐ一直線に走ること……で、レッドクリフでは、みんなが大騒ぎして大乱闘しているのに涼やかな顔してちっとも動こうとしなかった諸葛孔明の金城くんが、この映画では本当に一生懸命、……けつまずいて、いててて、なんて、ぼやきつつも……全力でまっすぐ走っちゃうんですから見ている僕の頬も緩みます。
 綾瀬はるかと、蒼井優に乗っ取られそうな日本映画のヒロイン役を、「四月物語」の私を忘れちゃ困りますわと言いたげに、松たかこさんが「良家の子女のたしなみ」だか何だか知らないけれど、五歳か六歳若ければ、まさにドンピシャのお嬢様になって大活躍です。
 安心して下さい。今でもこの役をできそうな女優は、あなたしかいないでしょう。
 名探偵明智君役も、他の役者さんも、楽しそうです。
 日本のアニメがルパン三世なら実写は二十面相……どっちも日本テレビだぜ。
 だったら、252の予算を、これ一本にかければ、もっと面白くなったかも……
 ま、簡単に言ってみれば、和製の明るくした「ダークナイトバットマン」なんですが、個人的にはエジソンより好きな発明家テスラにツングスカの大爆発とバベルの塔の絵、その他もろもろを強引にこじつけたりして……ところで、こういう遊び方をするアニメの「魔女っ子」ものを昔テレビでやっていました。
で、この映画、やたら、大勢のプロデューサーの名前がエンドタイトルに出てくるのですが、その総括プロデューサーの名前が、例の魔女っ子アニメの日本テレビのプロデューサーの名前に似ていたりして、そのタイトルで笑ったのは僕だけかもしれません。
 つっこみどころはいっぱいだけど、どうぞ、つっこんで楽しんでくださいと、居直って笑わせてくれます。
 前半の腹ペコで病気の子供と拷問風シーンが行きすぎの気がするけれど、不景気な日本の暮れと正月を吹き飛ばすには、お勧めです。
 今年、最後に見る日本映画が252でなくK20で、今年の日本映画は好調だったとにっこり笑えて、うれしい限りです。
 では……