首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

ぼーっとしてたらカードが増えた

なんだかこの頃、完全に昼夜逆転の暮らしをしていまして、午前10時ごろに寝て、午後4時ごろ目覚めています。
つまり、銀行の開いている時間に起きていないわけで、僕の取引銀行の口座に振り込まれる分はいいのですが、他の方の他の銀行口座に振り込まなければならない時は、朝、眠い目をこすりながら、渋谷の街までふらふらと出ていくことになります。
歩いて15分ぐらいの距離ですから、どうということないのですが、ともかく眠いのでぼーっとしています。
ふと気がつくと、僕の取引銀行のそばに、振り込む相手の取引銀行があるので、振込料をケチろうと思い、その銀行に行きました。
 現金で500円を振り込むのに、ATMで手数料を300円とられました。
 人と顔を合わす窓口だともっと手数料がかかるそうです。
 相手の銀行の取引銀行支店なのに手数料を取られるんですよね。
 しかも機械相手だというのに……
 万単位の振込だと気にならなかった振込手数料が、500円で300円じゃ納得いきません。
 どうしてこうなるの?
 首をひねりながら考えてみれば、ここ数カ月、僕の取引銀行に行っていません。
 いろんな振り込みは、自動引き落とし、現金は近くのコンビニのATMで出していました。
 街を歩く時、基本的にぼーっとしていますから、よく財布を落とすので、現金は持ち歩かず、いわゆるカード払いで買い物することにしていました。
 買い物といったって、レンタルビデオのツタヤとその近くにある本屋と東急ハンズぐらいですから、その関係のカードを2・3枚、持っていれば済みます。
 あ、映画館は、日本アカデミー賞の会員だと大手の映画館は平日に限り会員証を見せれば無料なんです。
 ただし、会費は結構高いです。
 しかし、全ての映画館が無料ではなく、大手の配給会社の系列だけです。
 渋谷は単館上映の映画館が多いので、そこはしっかり入場料を取られます。
 だから、日本アカデミー賞は、大手の配給会社の映画が候補になってしまいます。
 投票する人たちが、単館系の映画を、そもそも観ていないんですよ。
 したがって結果は最初から予想できます。
 本場のアカデミー外国賞をとったこともあるけれど、「おくりびと」は、実は松竹配給の映画です。
 僕は「ぐるりのこと」の方が好きですけれど、単館系映画は日本アカデミー賞では勝負になりません。
 もしも今年、「ヤッターマン」が、流石に作品賞は取らないでしょうが、美術か撮影賞をとったら、僕は怒るつもりです。
 あれ、内容はともかく、それ以前に、アニメか実写か、はたまた演技を超えたコスプレ学芸会か……
 でも、大ヒットしていますから、話題賞ぐらいは取るでしょう。一応、大手の日活系ですから……
 日本アカデミー賞の結果に時々首をひねりたくなるのは、そんな訳もあるのです……なんていうと、会員から除名されちゃうかな?
 実は、僕が小田原から渋谷に仕事場を移した理由のひとつは、単館系の映画が、ほとんどもれなく観る事が出来るからです。
 で、流石に映画館はカード払いという訳にもいかず……使えるとしても、サインしている時間に後ろに並んでいる人をイライラさせたくないし……もっとも人が並んでいる映画なんてめったにありませんけれどね……まあ、ともかく現金で入場料を払います。
 何の話を書いているのか分からなくなりそうですが、つまり短館系映画を観るには現金が必要なわけです。
 で、ひさしぶりに銀行のATMから現金を降ろすことにしたんです。
 銀行に入った途端、銀行のお姉さんがニコニコしながら、なんとかクラブに入りませんかと声をかけてきました。
 そのクラブに入ると、ATMの振込みや引き出しの手数料が無料になると言うのです。
 500円で300円の手数料を取られた後です。それに、おじさんの僕にとっては若い女の子ですから
ついつい話を聞いてしまいます。
 手数料が無料なのはいいのですが、そのクラブに入るとキャッシュカードにクレジットカードが付くといいます。いわゆる、VIZAとかJCBとかUCとかいうやつです。
 4種類ぐらいの中から、どれかを選べというのです。
 みんなそれぞれ、ポイントとかマイレージとか、それぞれ別の特典がついています。
 おじさんは、いつも、ぼーっとしていますから、色々なお店で勧められるままに、この手のカードをやたら持っています。
 4つから選べと言われても、すでに、みんな持っています。
 2枚だぶったからといって、それぞれのカードのポイントを足すのはできないそうです。
 かくして、どうでもいいカードが増え続け 一度、カードを入れた財布を落とした時、その処理でえらい目にあいました。
 以来、必要最小限度のカードしか持って歩きません。
 で、「クレジットカードなしのキャッシュカードだけではだめなの?」
 もう、クレジットカードが増えるのは沢山ですから、そう聞くと、
「だめではありませんが当行のキャッシュカードだけのお申し込みには銀行印が必要です。クレジットカード付きなら印鑑なしでいますぐお申し込みできます」
「はあ?」
 ちょっと、耳を疑いました。
 要するに、自分の銀行のキャッシュカードより、クレジットカード会社の信用調査をあてにしているらしいのです。
 こんなに銀行がクレジット会社と癒着していいんでしょうか?
「どのカードを選ばれてもリボ払いできますし、お勧めは○○○カードですが……」
 リボって、早い話が借金の利息をとられる分割返済でしょう?
 銀行の口座にお金はあるのに、なんでわざわざ借金しなきゃならないのでしょう?
 で、アメリカでは、リボ払いが普通になり、あげくのはてにリボ返済ができず、自己破産が続出中。サブプライムローン、リーマン破綻、何とかという保険屋さん問題の次は、自動車屋さん、次はリボが金融危機の要因になるのは確実だといわれています。
 日本の銀行……どこの国の銀行もそうでしょうが……百年に一度という危機状態の時、企業へは貸し渋るのに、個人の借金は勧めるって、どういうことなんでしょう。
 この銀行のお姉さん、自分が何をやっているのか分かってんのかなあ……なんて、思いつつ、ATMの手数料が無しの誘惑には勝てず、銀行印を持ってくるのも面倒くさく、どうでもいいクレジットカードがまた増えちゃいました。
 正直言って、嫌な感じです。
 で、銀行のお姉さんが、なぜかやたら勧めるのが○○○カード付き……たぶん上司からそれを勧めろといわれているのでしょう……アメリカ系のクレジットカードで、ちょっと昔は、高い会費を取り、さらに、ステイタスシンボルとして、ゴールドだのプラチナだのブラックだの、色々、偉そうで高額な会費の各付けカードを発行していたところです。
 それが今や、銀行のキャッシュカードにおまけで付く会費無料の借金カード……
 あ、○○○カードさん、僕、すでに持っていましたから気を悪くしないでね。
 だけれどアメリカは、$は、ひいては世界は大丈夫なのか?
 オバマさんが頑張っても本当にチェンジ出来るのでしょうか……てなことをぼーっと考えていたら、
映画館に行くのを忘れて、仕事場に帰っていました。
 お金に縁のない日本の貧困物書きを、こんな気持ちにさせるとは、今の世界はかなり重症なのかなあ
……
 では……