首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

「おっぱいバレー」

シネコン風の映画館が多い渋谷では、違う映画でも入場券の売り場が、同じ場合が多いのです。
当然、観たい映画の題名を売り場の方に口に出して言わなければなりません。
この映画を見る為には「おっぱいバレー」というわけです。
僕、「おっぱい」なんて、口に出して言った記憶がありません。
相手が恋人だって、「おっぱい」なんて言った事はありません。
相手の「おっぱい」に何かするとしても、普通黙ってするし、相手もあなたに好意をもっているなら何も言わずに受け入れてくれる筈です。
記憶のない幼児の頃でも、泣けば、母親は、黙っておっぱいからお乳をのませてくれるでしょう。
今までポルノ風の脚本を書いたこともありませんから「おっぱい」なんて言葉は,僕には無縁でした。
でも、僕もこの歳になれば平然と入場券売り場の若い女の子に言いましたよ。
「6時の回の「おっぱいバレー」一枚」
別に主役、今が旬の綾瀬はるかさんのおっぱいが拝めるなんて期待はしていませんよ。
原作を読んでいましたから……
原作が面白しろかったから、「この本、面白いから読んでみたら?」と娘に差し出したくらいです……でも、その時も、「この本」と言ったわけで、「おっぱいバレー」とは、言わなかったなあ……
で、この映画、原作をかなり脚色していますが、青春もののお約束満載で、それが、うまく整理されていて、楽しい映画でした。
ロボットという会社が製作に絡んでいて「3丁目の夕日」とか「K-20」を作ったところです。
今回はおそらくCGを使わず昭和を再現していて、よくまあ、今も動く昔の自動車を集めたなあと感心します。意味もなくなつかしい電話ボックスが、わざとらしく街路に立っていて、僕なんか、高校生の時、あんな電話ボックスから同学年の女の子に電話して、言葉に気を使いながら口説いた昔を思い出して笑っちゃいました。
昔懐かしい歌が流れ、昔懐かしい青春スポコンもののお約束どおりに話が展開しますから新味はありません。
でもそれが、かえって新鮮に感じます。
 「おっぱい」は見るより触るものだ。そんなオチも、納得できます。
 綾瀬はるかさんは、存在感のある女優です。
 存在感だけで魅力的なのに、今回は少し喋りすぎの気がします。
 「なんとかサイボーグ?」や「女座等市?」は映画としてはスカタンもいいところだけれど、綾瀬はるかさんの魅力爆発度はきわだっていました。
 今回、地方都市の中学教師にしては、ちょっと彼女の過去話とアイラインがきつめで気になりました。
 でもまあ、さわやかに見る事が出来ますから「おっぱい」という言葉にこだわらず見てください。
 なぜ、この映画を紹介したかというと、僕が観た劇場ではあまりに客が少なく、それも、どうやら、「おっぱい」見たさとしかおもえないおじさんの一人客が多かったからです。
 そんな類の映画じゃないです。
 僕はつまらない映画だとエンドタイトルを見ないで劇場を出ます。
 帰りのエレベーターが混みますからね。
 でも、この映画は、誰が製作に関わったかタイトルを見たくなりました。
 で、笑っちゃいました。昔、僕の書いた「ゴーショーグン」の小説の編集担当だった人の名が、プロデューサーです。
「K-20」では、「ミンキーモモ」のプロデューサーだった人の名前……
 面白がりたさのつぼが、僕にあっているのかなあ。
「おっぱい」にこだわらず、見てください。
 多分、面白いですよ。
 僕、もう一度「おっぱい」という言葉を口に出しましたよ。
 娘にね……
「「ヤッターマン」を見たなら、「おっぱいバレー」の映画を見ろ。おっ金かかっているだけの映画じゃないから……」
 ついでながら、なぜか横長ワイドスクリーンの映画です。
 DVDレンタルだと、テレビでは画面が細長く小さくなります。
 ご覧になるなら劇場でどうぞ。……
 では……
といって、さらに追記。
 ダメ男子バレー部を、バカにしている女子バレー部の女の子……大昔の僕のガールフレンドに似ていました。綾瀬はるかさんの悪口が書かれている黒板の字を消しながら「やっぱり、先生、間違っています」と、言うシーン……あの娘らしくて、しびれました。
 もしかしたら、この映画、あの娘を主役にしたら、もっと面白くなったかも……