首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

「かもめ食堂」フィンランドのおにぎり?

歯医者の帰りに、映画を見た。「かもめ食堂」と言う映画である。
 歯医者のすぐそばに、渋谷のBunkamuraがあり、その建物の前のビルに、小さな映画館が二つ、入っている。
 その内のひとつの劇場でやっている、ようするに単館小劇場で上映している映画である。
 もっとも、この映画、銀座の単館小劇場では、大ヒットしたそうで、なぜヒットしたのか、その理由がよく分からない不思議な映画だそうである。
 渋谷の劇場でも、小さな劇場とはいえ、ほぼ満席だった。
 いわゆる口コミで、ヒットしている映画のようだ。
 内容は、なぜか、フィンランド日本食堂をだした女性が、はじめは、さっぱり客がこなかったが、
やっぱりなぜかフィンランドにやってきた二人の女性に、お店を手伝って貰っているうちに、なぜか、
お店が繁盛し出して、めでたしめでたしになるというお伽話のようなお話である。
 食堂を経営する資金は、どうなっているのかとか、成り行きで手伝うようになる日本人の女性が、なぜ、フィンランドにやってきたかなどは、お話の中では、説明されていない。
 日本での過去の話も、ほとんど出てこない。
 恋愛話もでてこない。
 かといって、フィンランド日本食堂を、しゃかりきになって繁盛させる、奮闘記でもない。
 のんびり、まったり、これといってたいしたエピソードもなく、大笑いするようなギャグもなく、
 フィンランドヘルシンキの名所案内をするでもなく、ただ、主演の三人の女優の個性だけで、話を持たせている。
 よく考えてみれば、この三人が、そろってコーヒー通らしく、コーヒーの美味さがよく分かるのも変である。
 登場するフィンランドの人たちも、なぜかコーヒー通である。
 そのファインランドの人たちが、なぜ、日本食……それも豚のショウガ焼きや、鮭の網焼きや、豚カツや、唐揚げが好きになったのかもくわしくは描かれない。
 最後は「おにぎり」が、この店の名物になったようなのだが、その理由もよく分からない。
 なぜ、フィンランドで「おにぎり」が受けるんだ?
 映画の作者は、その理由を、説明するそぶりさえ見せない。
 ただ、フィンランドで出会った三人の女性が、日本食堂を中心に、うろうろしているだけで、めでたしめでたしになる。
 その様子を、観客はくすくす笑いながら、のんびり、まったりと見ている。
 つまらない映画ではない。どちらかというと面白い。かといって、感動する映画ではけっしてない。
 出てくる三人の日本人は、言っちゃ悪いが、恋とは無縁そうなおばさんばかりである。
 だから、流行の純愛映画ともほど遠い。
 ただぼんやりと退屈もせずに見ていたら、いつの間にか終わっていた。
 もしかしたら、今はやりの脱力系映画の一種なのかもしれない。
 舞台がフィンランドだから、外国語が出てきて、脱力感をそう感じないですむのか?
 ともかく、日本人には「おにぎり」が似あうのは、よくわかった。
 だが、それが、この映画のヒットにつながるかというと、よくわからないのである。
 婚期を逸したお姉さんやおばさんが、たいした目的もなく、外国を旅行するのが、流行っているというが、そんな女性たちには、この映画の楽しさが分かるのだろうか?。
 ともかく、男性の僕には、この映画のヒットの理由がよく分からない、変な面白さを持った映画だった。
 そういえばこの映画の監督は女性だ。