サンダーバードその3
この作品は、日本版のアニメ「サンダーバード」のエピソードとして書かれ、OKがでたものです。
その後、アニメ「サンダーバード」の企画は頓挫……「サンダーバード」の名前が使えなかったのかも知れません……いずれにしろ、それで全て終わるつもりでした。
ところが、そのアニメは、「テクノボイジャー」と言う名で復活、放映されたそうです。
問題は、その後発覚しました。
僕の書いた「サンダーバード」と酷似した作品が、別の脚本家の名前で放送されたらしいのです。
ところが初回放映後のクレジットには、また、僕のお名前が載っているようです。そこいらの事情もよく僕には分かりません。いずれにしろ、僕自身がその作品を見ていないのですから、なんともいえません。
僕の脚本は「日本版アニメ サンダーバード」のままになっています。
もちろん、「テクノボイジャー」では、登場人物等の名前は、変っているかも知れません。
サンダーバード
(仮題) 巨大飛行機を救え その3
脚本 首藤剛志
○USOが、煙を吐きながら降下していく。
○サンダーバード司令官室
ビジョンにUSOの様子が写っている
ハンセンが司令官の前にくる
ハンセン「お呼びですか?」
司令官「うん、フローティング エアポート作戦をとる。キャサリンは?」
ハンセン「第6プールに」
司令官「ウン」
司令官、コールボタンを押す
ビジョンにプールの様子が写る
誰もいない。
声「第6プール。キャサリン不在」
司令官「まったく、この大事なときに…」
ハンセン「海洋学の権威といっても、まだ20歳(はたち)前。遊びたい盛りですから ね」
自動ドアが開き、ユニフォーム姿のキャサリンが入ってくる。
キャサリン「わぁ失礼ね。事故のデータからみてお呼びもあるかと思ってね。この通り、ちゃんと着替えて準備してます。よく遊び、よく働け!」
キャサリン、ウインクする。
○サンダーバード 宇宙基地
その姿
○同 グラスルーム
ビジョンに、コールサインが譜面になって浮かぶ
エリック「ん?」
ビジョンに司令官が写る
司令官「エリック、フローティングエアポート作戦だ。サンダーバード3号が必要になるかも知れん。」
エリック「わかりました。フローティングエアポート作戦か…」
エリック キーボードを叩く
ビジョンに数式が写る。
コンピューターの声「総経費500億ドルの大作戦です」
エリック「地球の上の作戦にしては、なかなかのスケール…私の出番として不足はないな。よし、出動用意!」
エリック、すっくっと立ち上がる。
○大空
煙を吐きながら降下していくUSO
○同機内
燃え盛る炎の中を走っていくヒダカ
手動操縦ルームの前にくる
ヒダカ「手動操縦ルーム確認ー」
開閉ボタンを押すがドアが開かない
ヒダカ 銃を抜き
ヒダカ「器物破損、ゴメン」
銃を撃つ
ボタン内のコードを手でつなぐ
ドアが開く
○同手動ルーム
ヒダカ、飛び込んでくる
手動操縦席がある
ヒダカ、座る
ヒダカ「自動操縦OFF。自動操縦開始。」
ヒダカ、レバーを引く
○ガクンと降下の速度を早めるUSO
○同手動ルーム
ヒダカ「チッ!羽根があるなら飛んでくれ」
操縦管を必死に操るヒダカ
○USO、どうやら高度を保つ
後ろからサンダーバード2号がくる
サミーの通信が割り込む
サミー「どうだ、向きは変えられるか?」
ヒダカ「だめだ、バランスをとるのがやっとだ」
○手動ルーム
突然、炎が入り込んでくる
ヒダカ「ワッ!」
サミー「どうしたんだ!?ヒダカ!」
ヒダカ「火がまわってきた。防火服を着ていなければ丸焦げだ。」
サミー「タカだけに焼鳥か…」
ヒダカ「かんべんしてよ。冗談は」
サミー「火は俺が消してやる。サミー、参上ー、ミュージックオン」
サミー、ボタンを押す。
○大空
サンダーバード二号、白い煙をUSOに吹きかける。
みるみる炎が消えていく
音楽が聞こえる
「毎度おなじみサンダーバード
サミーが来たなら大丈夫
サミーにお任せあなたの命!
フレー フレー サミー
やっちゃれ やっちゃれサミー
地球のヒーロー 我らがサミー
○手動ルーム
消化剤で、真っ白になったヒダカ呆然
サミー「どうだ。消えたろう。」
ヒダカ、ヘルメットの前をぬぐい
ヒダカ「消えることは消えたましたけどね。人が命がけの時、あの応援歌はなんなんです?」
サミー「ゆとりだ。ゆとり。おまえもこれぐらい楽しまないと、肩こっちゃうぜ」
○サンダーバード2号コックピット
ビジョンに司令管が写る
司令官「サミー、センフラン市まで、あと10分だ。今、センフラン沖、100キロでハンセンとキャ サリンがフローティング エアポートを作っている。なんとか後1時間USOをもたせろ」
○海上
巨大なメカが数十機浮かんでいる
巨大な噴出口がついたクリーナーの化け物といっていい
指令艦にハンセンがいる
ハンセン「フローティングエアポート開始!」
メカから、白い泡が吹き出してくる
ハンセン「キャサリン!海底の様子はどうだ」
○海底
サンダーバード4号が進む
海の上がキラキラと光りながら固まっていく
○同コックピット
キャサリン「水深5メートルのはばで、海水が固まっていくわ」
ハンセン「(ビジョン)うん。うまくいっている様だな。USOっが着陸可能な幅2キロ、長さ20 キロの滑走路ができるまで後58分だ」
キャサリン「だけど、海の水を固めるこの薬、なんなの?」
ハンセン「植物性の液体凝固剤…動物性のゼラチン質も含まれているがね」
キャサリン「じゃあこれ、カン天、トコロ天、ゼリーの一種?」
ハンセン「生クリームといってもいいかもな」
キャサリン「じゃあ、海の生き物のは影響ないのね」
ハンセン「安心しろ!それより問題はUSOだ」
○どんどん高度が下がって行くUSO
○2号コックピット
司令官「(ビジョンで)センフラン市まで後5分。高度300メートル。サミー、USOを支えろ」
サミー「了解。ヒダカ、バランスをしっかりな」
ヒダカの声「了解」
○なにしろ幅1キロもある機体が、300メートル上空を飛んでいるのだ。地上は大騒ぎ。風が巻き起こり、木々や家、家畜が吹き飛ばされて行く
○USOの右のはしを2号がつかむ
(時間があれば、1・2度失敗する)
USO、グラリと揺れる
ヒダカ「チッ!」
USO、バランスをとる
サミー「うまいぞ、ヒダカ」
ヒダカ「(ヒダカ、歯を食いしばり操縦管を握る)なにがなんだか…やるだけだ!」
USOの高度が又、下がる。
サミー「だめだ、支えきれない。落ちる一方だ」
ヒダカ「まいる」
と、ガシンと衝撃音
ヒダカの視界がファッと上がる
ヒダカ「!」
エリックの声「宇宙より、救いの御手現れり」
3号が、USOの左端を支えているのだ。
サミー「エリック!」
エリック「またまた、宇宙組曲の作曲が遅れてしまったな。」
ヒダカ「完成したら是非聞かせてよ」
エリック「君達、凡人に私の名曲がわかるかな」
サミー「名曲なら、誰が聞いても感動するさ」
エリック「君達には、その常識が通用せんから不安なのだ」
サミー「嫌味がなきゃ、いい男なんだけどね。」
ヒダカ、ニッと笑う。安心感が顔に出ている。
司令官「(ビジョン)高度500メートル。それ以上は上昇せんか?」
エリック「これが限界です」
司令官「ヒダカ、センフランのテレビ塔は510メートルある」
ヒダカ「!」
○USOの前方に」テレビ塔が立っている。
ぐんぐん近づいていくUSO
司令官「エリック、サミーUSOを上昇させろ!」
エリック「しかし、今、エネルギーを使えばエアポート完了まで、USOを維持できません」
司令官「先のことより今だ」
エリック・サミー「了解!」
2号・3号フル出力
USOが上昇する
サミー「高度508メートル、間に合わない」
エリック「2メートル、あと1メートル」
ヒダカ、銃をとり出す
ヒダカ「こうなりゃヤケだ!」
……その4につづく
その後、アニメ「サンダーバード」の企画は頓挫……「サンダーバード」の名前が使えなかったのかも知れません……いずれにしろ、それで全て終わるつもりでした。
ところが、そのアニメは、「テクノボイジャー」と言う名で復活、放映されたそうです。
問題は、その後発覚しました。
僕の書いた「サンダーバード」と酷似した作品が、別の脚本家の名前で放送されたらしいのです。
ところが初回放映後のクレジットには、また、僕のお名前が載っているようです。そこいらの事情もよく僕には分かりません。いずれにしろ、僕自身がその作品を見ていないのですから、なんともいえません。
僕の脚本は「日本版アニメ サンダーバード」のままになっています。
もちろん、「テクノボイジャー」では、登場人物等の名前は、変っているかも知れません。
サンダーバード
(仮題) 巨大飛行機を救え その3
脚本 首藤剛志
○USOが、煙を吐きながら降下していく。
○サンダーバード司令官室
ビジョンにUSOの様子が写っている
ハンセンが司令官の前にくる
ハンセン「お呼びですか?」
司令官「うん、フローティング エアポート作戦をとる。キャサリンは?」
ハンセン「第6プールに」
司令官「ウン」
司令官、コールボタンを押す
ビジョンにプールの様子が写る
誰もいない。
声「第6プール。キャサリン不在」
司令官「まったく、この大事なときに…」
ハンセン「海洋学の権威といっても、まだ20歳(はたち)前。遊びたい盛りですから ね」
自動ドアが開き、ユニフォーム姿のキャサリンが入ってくる。
キャサリン「わぁ失礼ね。事故のデータからみてお呼びもあるかと思ってね。この通り、ちゃんと着替えて準備してます。よく遊び、よく働け!」
キャサリン、ウインクする。
○サンダーバード 宇宙基地
その姿
○同 グラスルーム
ビジョンに、コールサインが譜面になって浮かぶ
エリック「ん?」
ビジョンに司令官が写る
司令官「エリック、フローティングエアポート作戦だ。サンダーバード3号が必要になるかも知れん。」
エリック「わかりました。フローティングエアポート作戦か…」
エリック キーボードを叩く
ビジョンに数式が写る。
コンピューターの声「総経費500億ドルの大作戦です」
エリック「地球の上の作戦にしては、なかなかのスケール…私の出番として不足はないな。よし、出動用意!」
エリック、すっくっと立ち上がる。
○大空
煙を吐きながら降下していくUSO
○同機内
燃え盛る炎の中を走っていくヒダカ
手動操縦ルームの前にくる
ヒダカ「手動操縦ルーム確認ー」
開閉ボタンを押すがドアが開かない
ヒダカ 銃を抜き
ヒダカ「器物破損、ゴメン」
銃を撃つ
ボタン内のコードを手でつなぐ
ドアが開く
○同手動ルーム
ヒダカ、飛び込んでくる
手動操縦席がある
ヒダカ、座る
ヒダカ「自動操縦OFF。自動操縦開始。」
ヒダカ、レバーを引く
○ガクンと降下の速度を早めるUSO
○同手動ルーム
ヒダカ「チッ!羽根があるなら飛んでくれ」
操縦管を必死に操るヒダカ
○USO、どうやら高度を保つ
後ろからサンダーバード2号がくる
サミーの通信が割り込む
サミー「どうだ、向きは変えられるか?」
ヒダカ「だめだ、バランスをとるのがやっとだ」
○手動ルーム
突然、炎が入り込んでくる
ヒダカ「ワッ!」
サミー「どうしたんだ!?ヒダカ!」
ヒダカ「火がまわってきた。防火服を着ていなければ丸焦げだ。」
サミー「タカだけに焼鳥か…」
ヒダカ「かんべんしてよ。冗談は」
サミー「火は俺が消してやる。サミー、参上ー、ミュージックオン」
サミー、ボタンを押す。
○大空
サンダーバード二号、白い煙をUSOに吹きかける。
みるみる炎が消えていく
音楽が聞こえる
「毎度おなじみサンダーバード
サミーが来たなら大丈夫
サミーにお任せあなたの命!
フレー フレー サミー
やっちゃれ やっちゃれサミー
地球のヒーロー 我らがサミー
○手動ルーム
消化剤で、真っ白になったヒダカ呆然
サミー「どうだ。消えたろう。」
ヒダカ、ヘルメットの前をぬぐい
ヒダカ「消えることは消えたましたけどね。人が命がけの時、あの応援歌はなんなんです?」
サミー「ゆとりだ。ゆとり。おまえもこれぐらい楽しまないと、肩こっちゃうぜ」
○サンダーバード2号コックピット
ビジョンに司令管が写る
司令官「サミー、センフラン市まで、あと10分だ。今、センフラン沖、100キロでハンセンとキャ サリンがフローティング エアポートを作っている。なんとか後1時間USOをもたせろ」
○海上
巨大なメカが数十機浮かんでいる
巨大な噴出口がついたクリーナーの化け物といっていい
指令艦にハンセンがいる
ハンセン「フローティングエアポート開始!」
メカから、白い泡が吹き出してくる
ハンセン「キャサリン!海底の様子はどうだ」
○海底
サンダーバード4号が進む
海の上がキラキラと光りながら固まっていく
○同コックピット
キャサリン「水深5メートルのはばで、海水が固まっていくわ」
ハンセン「(ビジョン)うん。うまくいっている様だな。USOっが着陸可能な幅2キロ、長さ20 キロの滑走路ができるまで後58分だ」
キャサリン「だけど、海の水を固めるこの薬、なんなの?」
ハンセン「植物性の液体凝固剤…動物性のゼラチン質も含まれているがね」
キャサリン「じゃあこれ、カン天、トコロ天、ゼリーの一種?」
ハンセン「生クリームといってもいいかもな」
キャサリン「じゃあ、海の生き物のは影響ないのね」
ハンセン「安心しろ!それより問題はUSOだ」
○どんどん高度が下がって行くUSO
○2号コックピット
司令官「(ビジョンで)センフラン市まで後5分。高度300メートル。サミー、USOを支えろ」
サミー「了解。ヒダカ、バランスをしっかりな」
ヒダカの声「了解」
○なにしろ幅1キロもある機体が、300メートル上空を飛んでいるのだ。地上は大騒ぎ。風が巻き起こり、木々や家、家畜が吹き飛ばされて行く
○USOの右のはしを2号がつかむ
(時間があれば、1・2度失敗する)
USO、グラリと揺れる
ヒダカ「チッ!」
USO、バランスをとる
サミー「うまいぞ、ヒダカ」
ヒダカ「(ヒダカ、歯を食いしばり操縦管を握る)なにがなんだか…やるだけだ!」
USOの高度が又、下がる。
サミー「だめだ、支えきれない。落ちる一方だ」
ヒダカ「まいる」
と、ガシンと衝撃音
ヒダカの視界がファッと上がる
ヒダカ「!」
エリックの声「宇宙より、救いの御手現れり」
3号が、USOの左端を支えているのだ。
サミー「エリック!」
エリック「またまた、宇宙組曲の作曲が遅れてしまったな。」
ヒダカ「完成したら是非聞かせてよ」
エリック「君達、凡人に私の名曲がわかるかな」
サミー「名曲なら、誰が聞いても感動するさ」
エリック「君達には、その常識が通用せんから不安なのだ」
サミー「嫌味がなきゃ、いい男なんだけどね。」
ヒダカ、ニッと笑う。安心感が顔に出ている。
司令官「(ビジョン)高度500メートル。それ以上は上昇せんか?」
エリック「これが限界です」
司令官「ヒダカ、センフランのテレビ塔は510メートルある」
ヒダカ「!」
○USOの前方に」テレビ塔が立っている。
ぐんぐん近づいていくUSO
司令官「エリック、サミーUSOを上昇させろ!」
エリック「しかし、今、エネルギーを使えばエアポート完了まで、USOを維持できません」
司令官「先のことより今だ」
エリック・サミー「了解!」
2号・3号フル出力
USOが上昇する
サミー「高度508メートル、間に合わない」
エリック「2メートル、あと1メートル」
ヒダカ、銃をとり出す
ヒダカ「こうなりゃヤケだ!」
……その4につづく