首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

サンダーバード その4

  この作品は、日本版のアニメ「サンダーバード」のエピソードとして書かれ、OKがでたものです。
 その後、アニメ「サンダーバード」の企画は頓挫……「サンダーバード」の名前が使えなかったのかも知れません……いずれにしろ、それで全て終わるつもりでした。
 ところが、そのアニメは、「テクノボイジャー」と言う名で復活、放映されたそうです。
 問題は、その後発覚しました。
 僕の書いた「サンダーバード」と酷似した作品が、別の脚本家の名前で放送されたらしいのです。「空翔るエアポート」と言うタイトルだそうです。
 ところが初回放映後のクレジットには、また、僕のお名前が載っているようです。そこいらの事情もよく僕には分かりません。いずれにしろ、僕自身がその作品を見ていないのですから、なんともいえません。是非そのアニメを見たいものです。
 僕の脚本は「日本版アニメ サンダーバード」のままになっています。
 もちろん、「テクノボイジャー」では、登場人物等の名前は、変っているかも知れません。
   サンダーバード

         (仮題) 巨大飛行機を救え その4 (完)
          
          脚本 首藤剛志

○手動ルーム
   ヒダカ、前面の窓を撃つ
   物凄い風が吹き込む
   ぐんぐんテレビ塔の先端が迫る
ヒダカ「ラストショット」
    ヒダカ、テレビ塔の先端を撃つ
   テレビ塔の先端が、落ちるのとUSOが通りすぎるのがほば同時である

○3号
エリック「高度400迄降下。やるじゃないか、ヒダカ」
サミー「しかし、今の出力アップで、15分のロスだ。あと32分しかないぞ」

海上
   必死の作業が続いている
   なにしろ20キロの滑走路である。書いている作者も想像がつかぬスケールである?。

○指令艦
   ビジョンにUSOの飛行状態が写っている
コンピュータの声「USO、センフラン市上空通過。海上に出ます。墜落予定時間15分短縮 後30分」
ハンセン「なに?着陸予定地は?」
コンピュータの声「現在予定地より50キロ手前です」
ハンセン「馬鹿な!間に合わん!」
司令官「(ビジョン)ハンセン、そのまま作業を続けろ。できるだけ手前にエアポートを伸ばすのだ。残る手は一つしかない」

○USOが飛ぶ
   前窓が吹き飛んで、風が吹き込む
   操縦管にしがみついているヒダカ
サミーの声「ヒダカ、司令官からの司令が入った」
ヒダカ「!!」
インサートで司令官「ヒダカ、もはやサンダーバード2号3号でエアポートに降ろす事は不可能だ。残された手は一つ、できるだけ高く2号3号に上昇させてもらって、あとは、風との計算で、うまく落下速度と落下方向を調節し、海上の臨時滑走路に着陸するしかない」
ヒダカ「風任せで、操縦するグライダーと同じって事か……」
司令官「グライダーじゃない、世界一巨大で重い飛行物体だ。もう飛ぶことのできない落下するだけの飛行物体だ。頼りになるのは落下方向を変える舵しかない」
ヒダカ「グライダーなら慣れているよ。風を読めばいいんだ」
司令官「それはグライダーじゃない。巨大な重い飛行物体だ」
ヒダカ「そのセリフはさっき聞きいたよ。その操縦は俺に任せろ」
エリック「ヒダカ、失敗したら……」
ヒダカ「俺の命もないというんだろう。だが俺はサンダーバードの一員だ。半端な仕事はしない。やりかけた仕事は成し遂げる。」
エリック「若さゆえのヒロイズム。懐かしい。だが、無駄に死ぬことはない。」
ヒダカ「無駄じゃない。俺はこの仕事に自分の存在をかけるんだ…やらせろ。えーいやらせろというに…」
サミー「本人の自由意志だな」
エリック「わかった。2号3号急上昇!」
   USOをひいて、2号3号急上昇していく
   ヒダカ、散らばったコードで体を操縦席に巻き付ける
エリック「高度3000メートル限界!」
サミー「USOを切り放す。ヒダカ、エンジンを切れ」
ヒダカ「了解」
   USOのエンジンが切れる
サミー「ヒダカ、地上で待っている」
エリック「私の作曲、必ず聞いてくれよ」
ヒダカ「グッドラック」
サミー「USO切放し!」
   USO、切り放される
*      *
   飛ぶUSO
   猛烈な風の中、耐えるヒダカ
   操縦官をあやつる
*      *
   コンピュータに、落下予定地点とエアポート地点が描かれている
コンピュータの声「USO、落下起動からはずれ、滑走路へ向かっています」
   *      *
   飛ぶUSO
   雲に入る
   ガタガタとゆれるコックピット
*      *
   コンピュータに写るUSOの飛行軌道
ハンセン「やるなヒダカ。抜群のグライダーテクニックだ」
   *      *
   雲の切れ間
   遠く滑走路が見える
ヒダカ「あそこだ」
   *      *
   USO、ぐんぐん降りて行く
   ビジョンを見つめるキャサリン、エリック、サミー、ハンセン、司令官
   USOは着陸する
   白いクリームの中をメカをけちらしながら突き進む
   滑走路のへりにようやく止まるUSO
   機首を海の中につける
   衝撃でコードが切れ、ヒダカ、海に投げ出される
   海の中でもがくヒダカ
   やがて、海中から自然に浮び上がってくるヒダカ
   なんと、3号の探査艦のフロントガラスの上に乗っている
   ガラスの中でキャサリンがにっこり
   ヒダカ、やったぜと指を立てる

○指令艦
滑走路とUSOを見つめるヒダカ、キャサリン、ハンセン
ハンセン「どんなに科学が発達しても、安全にパーフェクトはない。人間は馬鹿な物を作るものだな」
ヒダカ「でも、あんなドデカイ滑走路作って後始末どうするんだ」
キャサリン「海の水が砂糖水だったらクリームパフェやあんみつにして食べちゃうんだけど…」
ハンセン「キャサリンは喜ばなくとも、キャサリンの友達は大喜びさ」
キャサリン「え?」
ハンセン「ほら、あれを」
   滑走路のはしに魚が群れている
キャサリン「あっそうか。この滑走路、「寒天」「ゼラチン」……魚の餌にぴったりなんだ。そのうちここらは魚の天国になるわ」
ヒダカ「サンダーバードは世の為、人の為、魚の為のもがんばります(おどけて)」
キャサリン「いっちょまえに、坊や」
ヒダカ「云うな!」
   口を曲げたヒダカで……
                                   END