首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

財布を落とした「立喰師列伝」

 渋谷の上映日が、今日が最後だというので、「立喰師列伝」を見に行った。
 監督は押井守氏、アニメ業界の人であるし、大昔、ある仕事ですれ違った事もある人でもある。
 結果は、1800円入場料を払ったが、一時間も耐えられず、途中で出てきてしまった。
 どんな退屈な映画でも、最後まで見る主義の僕としては、生まれてから映画を見て、初めてに近い体験である。
 立喰師という、虚構か実在しているのかよくわからない存在を通して、昭和の戦後史を語るという気持ちは分かる。
 しかし、この人は、自分で饒舌に語るほど戦後の昭和を分かろうとしているのだろうか?
 特に、1960年代から1970年代の昭和の安保戦争ごっこあたりの、描き方の腰の引け方にうんざりして、これ以上耐えきれず席を立ってしまったのだが、この監督、1970年あたりに実体験のないコンプレックスでもあるのかと思うぐらい、腰が引けている。
 実写写真の、アニメ風(コマどり)表現も、腰の引け具合をごまかしているとしか思えない。
 ゲスト出演で出てくる、僕の知っている業界の人に関しては、つきあいとはいえ、ご苦労様というしかない。
 最後まで見ていないから、偉そうな事は言えないが、見ている間に、腰がずるずると座席からずり落ちそうになって、結果、財布をポケットから落としてしまった。
 映画館に問い合わせたら、財布を見つけてくれて、助かったが、これが、渋谷でなく、新宿や、銀座だったら、財布を受け取りに行くだけで大騒ぎである。
 セブンイレブンだって、時給600円は払ってくれるだろう。
 それが、財布を取りに行く時間も含めると三時間は、時間を潰してしまった。
 この監督の作風をお好きな人は、喜んで見るかも知れない。
 だが、僕には、この監督の、訳のわかったつもりかどうかはしれないが、饒舌な語り口についていけない。
 最後まで見ていないのだから、評価なんぞできないが、この監督の作るアニメや映画は、DVD で見た時も、終りまで見るのに困った事を思い出した。
 映画フアンには、もとネタが分かるのも苦しい。
 鬼才と言われるだけの才能は、ある人なんだろうから、大事に使ってください。