首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

自由恋愛都市 小田原

 小田原というと、小田原城と、二宮金次郎……いいところ、かまぼことうめぼしぐらいしか思いつかない人も多いと思うが、谷崎潤一郎とか北原白秋ほか、著名な作家が、ずいぶん多く住みついていた文学の街としても知られている。
 しかし、文学をほとんど読まなくなった現代人……(なんと、世界でいちばん小説を読まない国民が日本人だそうである)にとっては、なんとも古くさく感じられる街に見え、とくに若い人にはあまり魅力を感じない土地に思われてもしょうがないかもしれない。
 何とか、様々な人たちにも、小田原文学になじんでもらいたいという趣旨で作られたのが「小田原文学に光と風をおくる会」である。
 だが、興味を持つのはご年配の方達が多く、多く若い人たちは小田原文学などに関心を持たない。
 そこで、一部の会員が、思いついたのが、小田原に関係のある作家達のロマンスである。
 小田原には過去の有名作家達が巻き起こした恋愛騒動の実話が多い。
 ロマンチックな街として、若い人に小田原を売り込めないものだろうか?
 だが、小田原の恋愛騒動といっても、まともな恋愛はあまり話題にならない。
 評判になるのは、いわゆる不倫がらみの騒動である。、
 偉そうに見える小田原の文学者の中には、いわゆる不倫を趣味にしているとしか思えない奇人が多かったようである。
 だが、不倫の街、小田原では、聞こえが悪いし、多くのまじめな小田原市民には迷惑な話である。
 そこで、不倫という言葉でなく自由恋愛という名を使ったらどうだろう。
 自由恋愛の街、小田原……名所旧跡もある。
 小田原文学散歩ではなく、小田原自由恋愛散歩という名称で、若い観光客や文学好きの青少年を呼んだらどうだろうなどと僕がつまらない事を話したら、本気で考えて見ようという事になった。
 みなさん、自由恋愛の街 小田原に、一度、お立ち寄りになりませんか?
 有名作家自由恋愛名所地図もそのうち作るつもりでいる。
 そんな小田原の会合から、東京に戻ってきたら、夕方からお子様のためのミュージカル制作会議が、ついさっきの午前一時すぎまで続いた。
 昼は、大人の不倫の話で盛り上がり。夜は、子供のためのミュージカルの話で、午前様。
 なんだか、変な一日だった。