首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

これからバイエル……絶対、秘密

ミュージカルの作詞をするために……先に作曲ができている……物置の中から、ほこりにまみれたキーボードを出してきた。またもや、部屋の中は機械の山が、さらに大きくなった。
 そのミュージカルの作詞には、二重唱や四重唱のところがあるので、それぞれの部分の楽譜を弾いてみて驚いた。うまく弾けないのである。
 考えて見たら、最後に書いたミュージカルが十年以上前、作詞も「ポケットモンスター」の「ロケット団よ永遠に」が最後で、それ以後、書いていない。
 キーボードの上を、指が思うように動いてくれない。
 それどころか、楽譜の複雑な部分になると、うまく読めなくなっている事に気がついた。
 音楽に対する感覚が錆びついてしまったのかもしれない。
 僕は、あわてた。楽譜屋にいくと、バイエルもあやしい。
 こうなったらゼロから、やり直しだ。
 脚本もそうだが、調子が悪い時は、書きかけのものであっても、全部破り捨てて、最初から書き直したほうがいい。
 キーボードも同じだと思い、はずかしながら、小学生用の教本を買ってきた。
 娘は小学四年生で、三歳の時からバイオリンをやっている。
 小学生の教本を弾いている父親を見たらなんと思うだろう。
 難しい仕事をやっているからとごまかして、娘は仕事場に近づけないでおこう。
 ミュージカルをやっている連中にも絶対内緒だ。