首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

娘とデイト

日曜日は、もうすぐ十一歳になる娘と渋谷でデイトである。
 109で、鉛筆とシャープペンの芯を買い、西武A館とB館の間の道を通って、若者向けのスープ屋で食事して、その先にある東急ハンズで、娘用のプラスティクのゴミ箱を買った。
 東急ハンズには、昔、手製の家具を作る材料を手に入れる為や、AV機器の部品などを買いによく行ったが、最近はほとんどご無沙汰していた。
 娘の趣味に合わせて、ウインドーショッピングすると、いつも僕が行っていた階とは違う、文房具売り場や、パーティ用品売り場……子供向けにも大人向けにもなる玩具がいっぱいある……を、付き合わされる。
 娘は無駄な玩具は、買わないし持ちたがらない性格に育っているから、見るだけで欲しがらない。
……そのくせ、大人用の携帯電話やカメラやパソコンは持っていて、僕以上に使いこなしている……。
 いずれにしろ通常の娘とのデイトは、極めて安上がりであるが、子供には子供なりの情報源があるようで、彼女達の間で、流行っているものを、自分の目で確認する為に、あちこち、ちょこまかと歩き回る。
 僕にとっても、今の子供たちの流行を知る為の勉強になるが、ともかく、何にでも興味を持つ歳ごろらしく、料理用品売り場の実演まで、足を止める。
 余りに多くの売り場を回るから、ディズニーランドに連れていった方がましなほど疲れる。
 僕が子供の頃、これほど好奇心の塊だっただろうか?
 多分そうだったに違いない。
 人間は、大人になるほど、必要なもの以外なものには好奇心を持たなくなる。
 あと、何年かすれば、デイト相手に、父親など必要でなくなり、別のボーイフレンドに取って代わられるだろう。
 娘とデイト出来る今が、僕にとっても貴重な時間な筈である。
 もうすぐ、娘の相手をできなくなる時が来る。
 その日が来るまでは、疲れに負けずにデイトを続けるつもりの、娘と四十歳以上、歳の差がある父親のおじさんが、今の僕である。