首藤剛志のふらふらファイル箱

人並みのつもりにしては、ふらふらしています。

バス停は目の前だった。

昨日は、徹夜で、仕事をした。
 朝になって、煙草を買いにマンションの外にでると、数人の人が、並ぶでもなく立つている。
 何事かと、見ていると、バスがやって来て止まった。
 そこは、渋谷行きバスの乗り場だったのだ。
 今のマンションを、仕事場にして、一年、経つが、このマンションの前が、バス停車場だという事を、始めて知った。
 僕は渋谷駅まで、いつも歩いていたから、目の前の、環状六号線に目もくれず、いつもマンションから出ると渋谷に向う横道に、入っていっていたから、そこが停車場だということに気がつかなかったのだ。
 早速、僕も、理由もなくバスに乗った。
 終点の渋谷駅まで、約十五分で着いた。
 僕の歩きだと、バス路線でない道を歩いて二十分ほどで、渋谷に着く。
 バスに乗って渋谷に行くか、歩いて行くか、時間的には微妙である。
 バスに乗って楽に渋谷駅にいくか、自分の足に頼るか、バスの待ち時間を考えると、歩いた方が早いともいえる。
 だが、雨の日など、目の前にバスが止まってくれると、濡れずに渋谷にいける。
 しかしである。
 一年間も自分のマンションの前が、バス乗り場だと知らずにいたとは、迂闊というか……
 人間って、目の前にあるものに、あんがい気がつかないものなんだなあ……と妙に感心した。
 もっとも、そんなドジは僕だけかもしれないが……。
           ×        ×
 夕方、妻と娘で、渋谷で食事をした。
 僕の誕生日祝いだという。
 ほんとうは八月十八日なのだが、その日は妻も娘も僕も用事があって、二日繰り上げて、今日にしたのだ。
 言われるまで、僕の誕生日が近いなんて事にも気がついていなかった。
 妻の誕生日も娘の誕生日も覚えていたが、自分の誕生日に気がついていなかった。
 ちなみに、妻も娘も、僕も獅子座である。
 そういえば、妻と娘には、つい最近、お祝いを言った覚えがある。
 だが、僕はこの歳になると、誕生日など、ありがたくもなんともない、
 またひとつ歳をとってしまった。がっくり……である。
 そんな気持ちがはたらいて、自分の誕生日を忘れる力がはたらくのかもしれない・

 
 
 
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